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2015年、デジタルウォレットはどのようにモバイルコマースを牽引するのか

2015年01月10日 09時00分更新

文● Bill Ready via ReadWrite

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誰だって携帯でクレジットカードの番号を入力したくはない

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モバイルは上り調子であり、交通、住まい、サービスに小売といった、これまでの産業を大きく変えた要因となった。結果、モバイルコマースは好況に湧いており、2014年終わりには世界中で2040億ドルの収益を上げる見込だ。

消費者がモバイルにシフトすることで、Airbnb、Trunk Club、Uber、YPlanといったシンプルかつ分かりやすい購入サービスの需要が高まった。モバイルによる購入がよりシンプルなものになる事で、モバイルコマースはより成長する。しかしながらモバイルでのブラウジングと購入との間には大きな溝がある。消費者と、彼らのモバイルデバイスに繋がろうとする売り手との間には、未だに多くの障壁が残っている。

全購買の1%程度を占めると見られるモバイルコマースが、その割合を30、40、50%と増やしていくため、我々は何をするべきだろう?モバイルコマースが向こう数年の間成長を続けるためにはどうするべきだろう。以下は私の予想だ。

デジタルウォレットがモバイルでの購入で好まれる選択になる

向こう5年の間に、クレジットカードを探さなくてもダイレクトに物を買うことが出来るデジタルウォレットアプリおよびハードが登場し、モバイルでの購入の主な手段となるだろう。この動きは2015年初頭には始まる。しかしそれはなにも人々が財布を持ち歩かなくても済むようになりたいからというわけではない。

私達はどこに行くにも携帯を持ち歩き、連絡、コンテンツの消費、買い物をしたり時間を潰す。米国のスマートフォン所有者は平均で1日3時間を携帯に費やす。携帯に費やす時間が増えるということは、それだけモバイルコマースの機会も増大するということだ。

このホリデーシーズンに、感謝祭のディナータイムにフラットスクリーンTVを購入したり、家族が去ったあとの時間を潰すためにゲームアプリをダウンロードしたり、あるいは携帯から直接来週のパーティーのためにホテルの予約を入れたりといったように、この分野において非常に大きな伸びが認められた。私の企業であり、PayPalの一部門であるBraintreeでも、今年の感謝祭、ブラックフライデー、サイバーマンデーでの取引の伸びは、2013年と比較してそれぞれ4.2、2.3、2.9倍となった。

モバイルにおけるブラウジングと購入とのギャップは依然として存在する。多くのオンラインショッピングは未だモバイルに最適化されておらず、消費者はクレジットカードや届け先の情報を入力しなければいけない。消費者はモバイルをつかって情報を入力することは望んでおらず、デジタルウォレットは”ワンタッチ”で購入を済ますことが出来るほぼ唯一の選択となると考えられる。

デジタルウォレットのアイデアは新しいものではなく、人々の関心を集めるのに時間はかかっているが、Apple PayやPayPalのOne Touchといったものが流れを変えるだろう。

セキュリティの懸念により更に消費者がデジタルウォレットを選択することに

過去15年、デジタルウォレット、それもPayPalの様なスケールのものは、人々に情報を明かすこと無く、セキュアにオンライン決済をする手段を提供してきた。しかし大多数の人々はクレジットカードを通したりオンラインフォームへの入力を通じて、数えきれない業者に決済情報を提供する事について、セキュリティ的に問題があるのではないかと懸念している。

これまで幾つかのの著名な業者での事故を経て消費者および業者は更なるセキュリティが絶対に必要だと考えている。カードを通したりオンライン決済をするたびに決済情報が共有されるという過去のモデルは明らかにもう機能していない。

以上の理由から、デジタルウォレットはセキュアな決済を望む消費者にとって無くてはならないものになる。

ウェアラブルおよびビーコンへのシフトはコンテキストドリブンな取引を活発にする

来る年にはウェアラブルデバイスとビーコンの増加がブラウジングおよび買い物の仕方を変える。アップル、Pebble、サムスンなどの功績により、人々が手に収まる(もしくは更に小さい)サイズのデバイスと過ごす時間は増えることになる。そしてほぼすべてのモバイルならびにウェアラブルデバイスはBluetoothを備えたビーコンとして機能することになる。

その結果、これらデバイスが周りの環境に作用する機能はもっと優れたものになるが、同時にその事をどう活用するかについても理解する必要がある。自分たちがいる場所から過去の購買履歴までを利用して消費者のニーズを予想することで、データ入力の為に設計されていないデバイスとも手早く簡単に連携することが出来る。

ウェアラブルデバイスを通じてブラウジングや購入をし出すことで、周りとのより良い連携を実現するためのコンテキストを読むテクノロジーが、より肝心なものとなる。EstimoteやEuclidといったビーコン技術は業者が消費者の購入エクスペリエンスを個々人に最適化し、携帯からの買い物を容易に出来る効率的な手段を提供してくれる。

Bluetoothの低エネルギー技術により、 Nenmo、Nearbyなどの人々が近距離においてディナーからコンサートチケットに至るまで、電話番号やメールアドレスを必要とせずに支払いを済ませるソリューションが可能になる。更に小さなスクリーンを持つウェアラブルデバイスが人々の心を捉え始めている事から、コンテキストドリブンなエクスペリエンス及びデジタルウォレットは何よりもまして重要なものになる。

人々は物よりも更にエクスペリエンスにお金を払いだす

シェアリングのコラボレーションの経済規模が大きくなるにつれ、ユーザーはよりエクスペリエンスにお金を出すようになる。AirbnbやHotelTonightを使って週末に出かける先の予約を入れたり、StubHubやSeatGeekなどのサイトからチケットを購入しイベントを視聴したり、また友人にソーシャルP2Pアプリを使ってビールや映画券などをプレゼントしたりと言ったことがより一般的になってきている。

Venmoはモバイル市場で年間$28億の取引を処理しており、四半期ごとに50%ずつの成長を続けているが、そこでのキーワードを分析してみると、タホへの旅行やフットボール、映画館への支出が増大していることが分かる。この出費の対象がモノからエクスペリエンスに移っていく現象は、これからも見られることだろう。

ソーシャルコマースが帰ってくる

ほんの数年前、多くの人々はソーシャルコマースは失敗に終わったと言った。これまでの知見では、ソーシャルコマースは販路がSNSのページからのアクセスからに限られており、購入品のシェアもソーシャルメディア上でのみ行えるとされてきた。

しかしソーシャルコマースは実の所、もっと目に付くところで盛んに行われている。そこでは購入やそれにまつわる対話が自然と行われている。近いうちに消費者がTwitter、Facebook、Houzzといったソーシャルサイトで物を買ったりシェアしたりするのを見ることになるだろう。

付け加えると、ソーシャルP2Pによる支払いも盛んになるだろう。これはなにも、今は支配的立場にいる先駆者たちの活動が活発になったのみでなく、ソーシャルコマースがメインストリームとなり、先駆者たちがその活動を会員たちからネットワーク全体に広まったことにより、ソーシャルネットワークの人口が増加したことも要因だ。

トップ画像提供:Shutterstock

編集者注:この記事はPayPalの部門、Braintree CEOのBill Readyによって執筆されました。

Bill Ready
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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