義手・義足に「感覚」が宿る日はもうすぐだ 写真:Russell Lee
イゴール・スペティック氏は4年前に業務上の事故で右手を失い、義手をつけている。しかし義手をコットンの球でなでられたイゴール氏は、それが「すぐに綿だと分かった」と言うのだ。
秘密は義手につながっているセンサーとケーブルだ。
コンピューターが腕の電極と脳に信号を送り、特定の「なでられた」感覚を再現する。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学とルイス・ストークスクリーブランド退役軍人医療センターが共同開発した技術だ。サイエンス誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」(Science Translational Medicine)10月号にも掲載された。
感覚が再現されたことにより、ぶどうやさくらんぼのように繊細な果実をつまむような動作も可能になった。義手を試した男性によれば「電源がオフになっているときはたくさんのグレープジュースが出来るよ」。
研究チームでは5年以内に患者が家庭で使えるシステムを開発できるのではないかと考えている。
今後は義手だけではなく、義足に同じ技術を使って地面の凹凸を感じられるようにしたり、脳深部刺激療法に応用したりと展開を考えているということだ。
技術によって身体的なハンディキャップを超えようという意志は世界共通だ。日本国内にもハイテク義手を開発しているスタートアップのexiiiがある。ぜひ国境というバリアを越えた交流を望みたい。