楽天・三木谷浩史代表。愛機片手に 写真:編集部
「キーワードは『3分の1』。スマートフォンが2200円で使える」
楽天代表の三木谷浩史会長兼社長が29日、スマートフォン片手に笑みを浮かべた。
子会社フュージョン・コミュニケーションズを通じ、「楽天モバイル」として格安スマートフォン販売に乗り出す。通信キャリアから回線を借りるMVNO SIMを活用する。回線はNTTドコモに相乗りする形。同日から予約受付を開始し、月内に順次発送を予定する。
料金プランはデータ通信(2.1GB)1600円と、「楽天でんわ」通話料金(30分)600円を合わせ、月額2200円。通信キャリアの定額プラン月額6500円に対して約3分の1におさえた。
端末は台湾エイスース(ASUS)の「ゼンフォン 5」(Zenfone 5)を扱い、年末と来年内に合計3機種を展開する見込み。ゼンフォン 5の端末価格はアップル「iPhone 6」(16GB)の6万7800円に対し、2万6400円でおよそ半額。価格だけではなく、5型サイズのディスプレイ、クアッドコアCPUなど端末の性能にも自信を見せた。
端末には「楽天でんわ」「Viber」など格安通話アプリをプリインストール。三木谷代表は「従来のAndroidスマートフォンはブロートウェア(入っていても使われないソフト)がメモリーを消費してしまう問題があったが、(楽天モバイルは)3つか4つしか入っていない。不要ならすぐアンインストールできる」と話す。
「(ゼンフォン 5の動作は)サクサクしていて、軽快。iPhoneやGALAXYをリプレイス(代替)しても快適になるんじゃないかと感じた」(三木谷代表)
日本の携帯電話の平均月額料金は7263円、世界でも米ニューヨークに続いて2番目に高い。「(日本の)携帯料金は高いと感じ、なんとかしたいと思っていた」と三木谷代表。総務省が来夏をめどにSIMロック解除の義務化に向けて動き、SIMフリー端末が揃いはじめたタイミングを選んで参入した形。
楽天グループ9400万人の会員規模を活かし、3~4年内に販売台数1000万台を目標に掲げる。ネックは「電話番号の乗り換えをいかに簡単に出来るか」(三木谷代表)であるといい、インターネットを契約窓口にしながら、今後は実店舗などリアルでの展開も検討したいとしている。
MVNO SIMを使った格安スマホはイオンやビックカメラなど流通大手も参入、競争が激化している。MMD研究所によれば、格安スマホの認知度は75.1%と高いにもかかわらず利用率は1.6%とまだ低いが、三木谷代表は会員データベースの大きさを強みに、今後の伸びに期待したいと話す。
「補完的なMVNOより、MVNOがメインというシナリオも考えられるのでは」(三木谷代表)