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今回、ネット上の誰もがヌード写真流出の被害者を非難しているわけではない

2014年09月10日 18時30分更新

文● Helen A.S. Popkin via ReadWrite

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ハッカーこそが犯罪者である。彼らを罰せよ。

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またしても有名人のヌード写真が流出し、インターネットが女性に厳しいことを再認識する事態となった。ふしだらな女だと辱め、被害者を責める見出しやコメントが殺到している。しかし一方では、犯罪者と傍観者を罰しようとする人々も現れているようだ。

コメディアンのリッキー・ジャーヴェイスも罰しようと。

「セレブのみなさん、PCにヌード写真を入れなければ、ハッカーも盗めないよ」。これがジェニファー・ローレンス(女優)、ケイト・アプトン(モデル)などの写真流出に関するジャーヴェィスの先週月曜のツイートだ。写真はアップルのiCloudアカウントから流出し、有名人の流出事件としては最大規模のものとなっている。

ツイッター上での彼への批判は、素早く厳しいものだった。悪びれない、断固としたツイートで有名なジャーヴェィスも、さすがに問題の投稿を削除し、謝罪した。

Emma Watson:「ソーシャルメディアで女性のプライバシー侵害を目にするより嫌なのは、被害者の気持ちを理解しないコメントを読むことだわ」

それでもジャーヴェィスは、ツイートをジョークだとしてなんとか誤魔化そうとした。「もちろんハッカーが100パーセント非難されるべきだけど、ジョークは言ってもいいはずだ。ジョークっていうのは、本当の気持ちとは全く関係ないんだから」。以下に彼のツイートを転載しておこう。

Ricky Gervais:「ある事についてジョークを飛ばしても、そのことを容認するということではない」

Ricky Gervais:「もちろんハッカーが100パーセント非難されるべきだけど、ジョークは言ってもいいはずだ。ジョークっていうのは、本当の気持ちとは全く関係ないんだから」

だから?

犯罪は犯罪であり犯罪なのだ

トミー・リーとパメラ・アンダーソンの新婚旅行のセックス・テープを何者かが(報道によると家庭用金庫から)盗んだことがあった。それ以降、有名人やセキュリティの専門家が繰り返してきたありきたりな発言を、今や身近な人が真剣にツイートしているのだ。

もっと分かりやすい例を挙げよう。100ドル紙幣を数えながら真夜中に暗い通りを歩いて強盗に遭ったなら、あなたは愚かだとと言わざるを得ない。それでも強盗は犯罪者だ。私たちはみな、盗難予防をしなければならない。

しかし、だからといって犯罪被害者を責めるべきだということにはならない。私たちは、強盗や4chanでの写真流出がない世界に住むことが可能であるべきだ。

歴史が示すように、私たちは被害者非難ばかりに囚われて、加害者や荒らしに対しては非難が不十分だった。

被害者を批判することは、ゴシップ誌が掲載するこの手の「スキャンダル」に対する反応として今後も残っていくことだろう。しかし、ジャーヴェィスのツイッター謝罪を見るに、インターネット上では被害者批判が起こらないケースも出てくるとは考えられないだろうか。

私たちはゴシップ誌よりも偉大だ

「ジェニファー ・ローレンスのヌード写真流出は、『スキャンダル』ではない。『性犯罪』だ」という記事がフォーブスに掲載された。寄稿者のスコット・メンデルソンはその中でこう書いている。

被害にあった女優、ミュージシャンたちは、ヌード写真を撮って携帯電話に保存した。しかしそれは不道徳・違法行為では全くない。ハッキングや盗難にあう可能性のある携帯電話にヌード写真を保存するのは賢明ではない、という率直な意見もあるだろう。しかしそれが正しいとしても、重要なのは、この被害者女性たちは、コンテンツがプライベートであるか、パートナーのように許可した人物のみが閲覧可能という見込みのもと、携帯電話にあらゆるものを保存できる絶対的な権利と特権を持っているということである。道徳的犯罪の重責は、写真を盗んだ者とそれを快楽や満足のために使用した者にある。

自称女性フェミニストたちは、メンデルソンの意見が、被害女性批判に反対する、男性のツイートを反映しているとは理解できないだろう。もちろんこういった男性が、家事を手伝う人より賞賛されるべきだとまでは言っていない。

非常に小さいながらも、これは社会変化の兆しとは言えないだろうか。1990年代初頭、LambdaMOOで起こった忌まわしい「サイバースペース・レイプ」以後、ネットに散見する女性批判を見てきたツイッターでの変化を知らない方々にとっても。

Seth Rogen:「携帯電話から盗まれた写真を投稿することは、盗品を販売することと何ら違いはない」

Seth Rogen:「もちろん女性を商品に例えているわけではない。ただ法的に言って、盗まれた写真を再投稿することを容認するべきではないということです」

実際問題として、この変化が被害者非難を軽減する以上の意味を成すのか見守る必要がある。対象が有名人だろうがリベンジポルノの被害者だろうが関係なくだ(人種から政治、ジェンダーといった論議を呼ぶ問題に至るまで、インターネットは悪いことだけでなく、いい意味でもオープンなのだ)。

悪事を排除しようという議論が巻き起こっているに違いない。被害者を非難する者を社会が容認せず、写真の取引を減らすことによって、ハッカーが求める称賛 (とお金)を制限することも対策として議論されているだろう。

ぜひ、そうなって欲しいと思っている。

トップ画像提供:Peter

Helen A.S. Popkin
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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