九州発、東京経由、山形着で追い求めたSEとコミュニティの形
潜り先は雲へ!JAWS-UG山形の赤塚さんが目指す地元志向
2014年08月04日 09時00分更新
JAWS-UG山形を立ち上げた赤塚誠二さんが目指すのは、地元に根ざした新しいコミュニティの形。小さなコミュニティを連携しながら、決して先進的と言えない東北のIT業界に新しい息吹を送り込んでいる。スキューバ好きの大学時代からJAWS-UGに注力する現在までの道程を追う。
本連載は、日本のITを変えようとしているAWSのユーザーコミュニティ「JAWS-UG」のメンバーやAWS関係者に、自身の経験やクラウドビジネスへの目覚めを聞き、新しいエンジニア像を描いていきます。連載内では、AWSの普及に尽力した個人に送られる「AWS SAMURAI」という認定制度にちなみ、基本侍の衣装に身を包み、取材に臨んでもらっています。過去の記事目次はこちらになります。
スキューバからSEへ!赤塚さんの半生を振り返る
大分出身の赤塚さんは、九州の大学でプロダクトデザインやマーケティングを勉強し、卒業後に大手のスポーツ用品販売店に就職した。「もともとスキューバが好きで、友人はインストラクターの道に進んだので、僕は上京して店のビジネスを学ぶことにした」ということで1998年に上京。数年を経て、ダイビングの部署での企画や仕入れ統括を任されるようになったという。
そして、そこで渡されたPCのExcelが赤塚さんの人生を変えることになる。「あまりにも便利だったので、ちゃんと勉強しようと思って、パソコン教室に通い出したんです。そうしたら、WordやAccessやって、Excelの関数やJavaScript、HTMLまではまってしまったんです」(赤塚さん)。便利さを痛感した赤塚さんは、ITで食べていくことを決意する。
スポーツ販売店を辞めた赤塚さんは、大手SIerの子会社に派遣社員として転職。「日々のデータベースメンテナンスを自動化するプログラムを作ってみたら、5人でやっていた業務が1人で済むようになった」といった経緯から能力を認められ、スタートアップのプロジェクトに所属された。そして、その会社の人脈で、現在ではAWSのインテグレーションで名高いサーバーワークスでSEとして働き始めた。赤塚さんは、「当時、社長と総務などあわせて4人くらい。SEとしてはど素人なので、フルスタックでやらなければならなかった。人がいないんで営業しながらプログラム組んでたし、謝ってばっかりだった(笑)」と当時を振り返る。
一方で、赤塚さん自体も人生の転機が訪れた。結婚と共に、奥様の実家である山形や自身の実家である九州に足繁く通うようになり、両親や家族と離れて東京で暮らすのに耐えられなくなってきたという。「お盆や正月にそれぞれの実家に戻るのですが、われわれが東京に帰るたびに、母や祖母が窓辺で泣くんです」(赤塚さん)。
東日本大震災が発生したこともあり、赤塚さんはかねてから実現したかった大家族での生活を実現すべく、2011年秋に山形に移住。これを機に7年に渡って働いてきたサーバーワークスを退職することになる。「地元のプロバイダーで仕事があったので、そこに勤めることにしたんですが、自分の在り方を実現するのであれば、ITやめてもいいかなとは思っていました」(赤塚さん)。
「山形にJAWS-UGないよ」「だったら作ろう」まで数時間
こうして山形に根を張り、悠々自適な日々を送っていた赤塚さんだったが、「ITやめてもいいと思って引っ越ししてきたが、やっぱり寝食忘れて学んだこの職業が好きで、現場で戦いと思った」(赤塚さん)という。
しかしAWSを展開している会社は、山形には1社しかなく、圧倒的な情報量不足という状況。そこで、赤塚さんは自らJAWS-UG山形の立ち上げることにし、元の職場だったサーバーワークスの大石社長と相談した。「チャットでJAWS-UG山形について相談していたら、1時間後くらいにはアマゾンデータサービスの堀内さんがチャットに参加して、スケジュールまで練った」(赤塚さん)とのことで、話はとんとん拍子で決まる。こうして2013年6月に、堀内氏やcloudpackの吉田さんなどをメンバーを迎え、めでたく第1回の勉強会を開催。山形のITコミュニティである「わにる」のメンバーも参加し、盛況のうちに終了したという。
こうしてコミュニティの盛り上がりとクラウドの台頭を目の当たりにした赤塚さんは、昨年働いていたプロバイダーを辞め、父親の個人会社に参加するという形で個人事業者として活動。「“トータルビジネスサポート”という会社名なのですが、おとんが作ってきた名刺のメールアドレスのスペルがそもそも間違っている(笑)」とのことで、サーバーワークスの名刺を持ち歩き、多忙を極める同社の仕事を請け負う形で、現在も山形で仕事している。
(次ページ、小さいコミュニティが連携してやりたいことを実現)
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