「人気の出たコンテンツは、類似動画が毎日更新に近い状態でどんどん生まれ、元のコンテンツの知名度を上げる」
ドワンゴ会長室ゲーム戦略グループの伊豫田旭彦氏がそう語るとおり、ニコニコ動画でひとつのコンテンツが盛り上がり広がっていく仕組みはここにある。ニコニコ動画は若者が集まる場所で、大人には関係ない。また盛り上がりの理由がわからないと思うだろうが、仕組みは非常にシンプルなものだ。
たとえばゴールデンボンバーの「女々しくて」と初音ミクを代表する曲となった「千本桜」は、楽曲と動画共にニコニコ動画内で人気が非常に高いものだ。ほかのユーザーが歌う「歌ってみた」、ダンスを披露する「踊ってみた」、イラストの「描いてみた」など、2次創作、3次創作が次々と展開していく。
さらにはニコニコ動画を飛び出し、「女々しくて」は日本音楽著作権協会(ジャスラック)が発表する「2013年度著作物使用料」の分配金で金賞を受賞。「千本桜」もカラオケのランキングでは常に上位に顔を出して国民的な定番曲になり、ついにはトヨタ自動車のコマーシャルにも使われるまでに成長した。
ニコニコ動画のユーザーに受け入れられれば、元のコンテンツがユーザーが作ったものなのか、商業コンテンツなのかは関係なく、盛り上がりを見せる。コンテンツを流通させる仕組みと、また新しいコンテンツを発見してビジネスのカタチをつくること。本誌9月号の特集「ディズニーvs.KADOKAWA×ドワンゴ」では、ニコニコ動画で育まれたコンテンツが、さらにニコ動の外に出て新たな市場を切り開いた経済規模をリポートしている。