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どうなるネット通販、医薬品のネット販売がついに解禁

2014年06月12日 02時35分更新

文● 加藤 宏之(HEW)/アスキークラウド

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 医師が患者一人ひとりにあわせて出す処方箋に基づき、薬剤師が調剤して提供する医療用医薬品(処方薬)に対して、薬局等で誰もが入手できる一般用医薬品(市販薬)。この一般用医薬品が12日、改正薬事法の施行により、ネット通販で購入できるようなった。

6月12日の改正薬事法施行前後での販売方法の比較(政府広報オンラインより)
6月12日の改正薬事法施行前後での販売方法の比較(政府広報オンラインより)

 一般用医薬品は、副作用などのリスクの度合いによって第1類と第2類、第3類に分類されている。リスクの低い第3類医薬品は従来からネット販売が行われていたが、今回、ネット販売が解禁されたのは第1類と第2類だ。ただし、第1類医薬品の一部は要指導医薬品に分類があらためられ、ネット販売は禁止される。要指導医薬品はおもに、劇薬や、医療用医薬品から一般用医薬品に移行して間もない、リスクが確定していないなどのスイッチ直後品目となる。

 そもそも一般用医薬品に対面販売が求められたのは、医薬品の不適切な使用によるリスクを避けるためだ。医薬品を使用する量や回数はもちろん、目的に合った医薬品を選んでいるか、体質等との相性に問題がないかなどは、単に使用上の注意事項を読むよりも、対面形式できちんと説明を受けたほうが使用者の理解が深まる。ネット通販ではそこに限界があると考えられる。

第1類医薬品をインターネットで購入するときの流れ(政府広報オンラインより)
第1類医薬品をインターネットで購入するときの流れ(政府広報オンラインより)

 そこで、今回のネット販売解禁にあたっても、多くの条件やルールが示されている。たとえば、薬事法により、薬局または店舗販売業の許可を受けている実店舗を持つ薬局・薬店が開設する販売サイトであること。また、インターネットのほかに、対面や電話での相談体制を整備していることなどが条件付けられている。

 販売サイトでのおもなルールとしては、トップページに店舗の名称を表示する、実店舗の写真を掲載する、現在勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名などを掲載する、許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)を掲載する、営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を掲載する、といったことが挙げられている。

販売サイトのチェックポイント(政府広報オンラインより)
販売サイトのチェックポイント(政府広報オンラインより)

 逆に言えば、こうした条件やルールにそっていない販売サイトは、一般用医薬品の販売許可を得ていない、あるいは、薬事法による安全性が確認されていない海外医薬品や偽造医薬品を販売している、などが疑われる。政府広報オンラインの「暮らしのお役立ち情報」では、「一般用医薬品を対象に6月12日からスタート! 医薬品のネット販売を安心して利用するために」というページで改正薬事法について解説。ネット販売の利用の注意点などもまとめているので参考にしたい。

 今回の一般用医薬品のネット販売解禁により、ネット通販業界や医薬品業界には新たな事業展開が開ける。それは両業界を巻き込む大競争の幕開けでもある。

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