一人でもできる! 会社の作り方
カリー メリット・デメリットがわかったところで、そもそも会社ってどうやって作るんでしょうか?
いくちょん なんとなく役所に届けなきゃいけないイメージはありますよね。
カリー そうそう。でも調べると、「資本金が1円でもOK」とか、杉山先生のような司法書士にお願いしなくても1人で作れちゃうみたいな話も聞きます。
杉山 いけますね。
カリー・いくちょん・編集K いけるんだ!
いくちょん 一人でやった場合、最低でもいくらぐらいかかるんですか?
杉山 実費でいくと、公証役場の5万円(後述)と、法務局の登記時かかる税金15万円を合わせた20万弱ぐらいです。ただ、相当な手間を覚悟していただくことになります。
カリー やっぱり。具体的に何が必要なんでしょうか?
杉山 まず会社のお名前と所在地、それに先ほどいっていた資本金を決めていただきます。同じ場所に同じ名前の会社が存在してはいけないというルールがあるので、それを法務局に行って調べます。
いくちょん なぜそんなルールがあるんですか?
杉山 例えば「株式会社KADOKAWA」とか、名の知られた企業と同じ名前で商売してやろうという行為を防止するためですね。
カリー でも調べるのって面倒なのでは。
杉山 まったく難しくないです。法務局にある「商号検索」っていうタッチパネルの端末で調べてもらうっていう感じです。
カリー 法務局ってフリーライターみたいなラフな格好で入っても大丈夫なんですか(笑)。
杉山 大丈夫です。少しネックなのは、法務局は平日しかやってないっていうところですかね。すっぱり会社を辞められた方ならいいんですが、会社にいながら起業のタイミングを見計らってやってる人だと難しいかもしれません。
カリー おおお……。
杉山 あとはひと口に会社と言っても、4種類あるので、どの形態で始めるかも決めます。
カリー そういえば株式会社だけじゃなくて、有限会社とかもありましたね。
杉山 有限会社は既存のものはそのまま存続してますが、会社法が2006年に改正されて作れなくなってしまいました。今は株式会社のほか、昔でいう有限会社と似ている「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の4つから選択するっていう感じです。
編集K 株式会社以外はあまり見かけませんが、その4つはだいたいどんな割合ですか?
杉山 99%は株式会社ですね。
編集K やっぱり(笑)
杉山 ほかの形態を選ぶメリットがほとんどないんですよね。登記時には、印鑑証明と実印、会社の印鑑も用意する必要があります。ネット通販で買った、数百円の安いものでも大丈夫です。
カリー その後に書類?
杉山 そうです。会社のルールを記した「定款」を作る作業ですね。例えば、何の事業をやるのか、役員を何人にするのかっていうのを決めていく感じです。
カリー これもネットで読んだんですが、定款はネットに落ちてるものでもいけるとかなんとか……。
杉山 まったく問題ないと思います。
カリー それって中身は誰かがチェックするものなんですか?
杉山 そうですね。公証役場にいる公証人の先生に5万円近くを払って認証してもらわないと、法務局の登記手続きで受け付けてくれないんですよ。これは株式会社だけなので、株式会社をつくる最大のデメリットともいえます。
カリー それは必ずやらなきゃいけない?
杉山 必須です。そして公証役場のダメ出しがまず入る。
カリー ダメ出し!
杉山 ええ、必ず入ります。
編集K 適当にやっても読まれちゃうんですね。
杉山 必ず真剣に読んで、「あーしなさい」「こーしなさい」って指摘が入って、そして心が一回折れます(笑)。ちなみに定款は紙で作ると印紙代が4万円かかりますが、電子定款にすればそのお金を浮かせられます。
カリー でも、面倒だったり。
杉山 パソコンの知識がある方なら「Adobe Acrobat」を使って電子認証ができます。でもその認証を受けるためには、住基カードが必要。本格的にお金をかけたくないというのであれば、住基カードをとっていただいて……。
カリー ああ、もうダメだ(笑)
杉山 面倒なんですよ。
カリー ロールプレイングゲームをやってるみたいですね。何かのアイテムを手に入れるためには、誰かに話して鍵をもらわないといけないみたいな。
杉山 おっしゃる通り。なので「ご自分でもできますよ」とは言うんですけど、結局、みなさんどこかで心が折れて戻っていらっしゃる。
カリー なるほど。杉山先生もなかなか鬼ですね。
一同 (爆笑)
カリー そこに手間をかけるんだったら、本業に専念して稼いだ方がいいかも。
杉山 そうです。営業回りで名刺を配るなどをやっていただいて、面倒なことは専門家にお任せいただいた方がいいと思います。
(次ページ、「資本金の額や登記内容などに超注意!」に続く)
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