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マイクロソフトが「.Net Foundation」を設立し、オープンソースへの取り組みを本格化

2014年04月05日 07時00分更新

文● Owen Thomas via ReadWrite Japan

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.Net Foundation、Roslyn、WinJS がオープンソースの仲間入りを果たした。

Microsoft

マイクロソフトは長年に渡ってオープンソース・ムーブメントに興味を示しており、占有的なソフトウェアよりもパブリックなコードを好む開発者との架け橋を構築しようと模索してきた。今週マイクロソフトは、同社のオープンソースへの関与について懐疑的な人々をも説得できるほど大きな発表を行った。

今週サンフランシスコで開かれたマイクロソフトの Build デベロッパー・カンファレンスの基調講演で、同社の役員スコット・ガスリーは、今後 .Net の重要なソフトウェア・フレームワークの管理を引き継ぐ組織「.Net Foundation」の設立を発表した。

マイクロソフトが数年前に .Net を開発したのには2つの大きな理由がある。開発者が Windows の複数のバージョンに対応したプログラムを書きやすくするためと、当時勢いのあった Java 言語に対抗するためだ。しかしこの Windows 中心のフレームワークは、広く採用されるには至らなかった。

今回の動きは衝撃的だ。何しろマイクロソフトの元 CEO スティーブ・バルマーは、オープンソースのことを「癌」と呼んでいたのだから。バルマーがCEOを退任した後、後継者であるサティア・ナデラはマイクロソフトのイメージ再編のために多くの施策を講じている。中でも開発者との関係改善には特に積極的だ。

.Net は、マイクロソフト自身が所有するソフトウェア Windows の中核に近い重要な位置にある。そのため、Windows 自体がオープンソース化されるほどの衝撃ではないにしても、これが大きな動きであることに違いはない。

またマイクロソフトは木曜日、.Net のコーディング・ツールである Roslyn をオープンソース化すると発表した。また水曜日には、ウェブやモバイル開発者からの人気が高いプログラミング言語 JavaScript を使って Windows アプリを作るためのライブラリ・セット、WinJS のコードも公開した。


オープンソースの目的

これらは決して急な動きではない。マイクロソフトのクラウドサービスである Azure はすでに Linux をはじめとしたオープンソース・ソフトウェアに対応している。また同社の Codeplex サイトでは、28,000ものオープンソース・プロジェクトがホスティングされている。

今回の動きはマイクロソフトにとっていくぶん利己的なものと言えるだろう。少なくともこれらの技術を歓迎する開発者は、他のプラットフォームと同じくらい Windows と Windows Phone 用アプリを開発しやすくなるというわけだ。今やあらゆるソフトウェア開発プラットフォームにとって、ソフトウェアを広く普及させるためにはオープンソースという糸口が必要なのかもしれない。

同時にオープンソースは、専門的なプログラミング教育を受けていない非伝統的な開発者にとって、プログラミングを学ぶための重要な手段でもある。マイクロソフトもこれによって、ビジネスソフトウェアというジャンルを越えて多くのアプリ開発者を集めることができるかもしれない。

マイクロソフトが今週リリースした.Net、Roslyn、WinJS は、13年前のバルマーの発言を未だに根に持っているハードコアなオープンソース支持者までは説得できないかもしれない。しかし、マイクロソフトが古い考え方を一新し、新たなフェーズに入ろうとしていることは間違いない。


画像提供:Shutterstock

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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