3月18日、日本政府はサイバー攻撃に備えた過去最大規模の訓練を実施した。参加者は、全府省庁や内閣官房情報セキュリティセンター、重要インフラ事業者などの担当者約100人。ある省庁が機密情報を不正入手するウイルスが仕込まれたサイトに引き寄せる「水飲み場型攻撃」を受けたと想定し、府省庁をまたがる情報の収集や共有、府省庁横断の専門組織による緊急対応を訓練した。
こうした訓練を実施する背景には、日本のサイバーセキュリティーの専門家不足がある。サイバー空間では攻撃者が圧倒的に有利で、守る側には攻撃者以上の能力が求められるからだ。
サイバーミステリー小説家の一田和樹は、「日本に限らず、世界中でサイバーセキュリティーの専門家が不足しているのは事実だが、優秀な人材は高報酬の海外企業に流れている」と電子書籍「アンダーグラウンドセキュリティー 1」内で、日本のサイバーセキュリティー専門家不足の原因を記述している。
しかし、サイバー攻撃が巧妙かつ高度化している現状を見ると、サイバー攻撃に備えた訓練は今後も重要になってくるはずだ。政府は3月18日をサイバー攻撃に備えた訓練の日と定めて、毎年同様の訓練の実施を決めた。
アンダーグラウンドセキュリティー 1の第6章では「警察が捕まえられるのは子どもと間抜けだけ」と題して、日本警察のサイバー捜査の改善点を海外との比較などから考察している。