現金「市場」という聞き慣れない言葉に驚いた特集でした。2008年の調査ですが、国内では決済手段のうち、6割が現金。ところが他の先進国では現金の割合は3割前後しかありません。海外ではクレジットカードやデビットカード、電子マネーが相当普及しているのです。
日本人のクレジットカード利用率が低いのは、公共機関や学校に加えて、エステなどのサービス業や自動車修理工場など、定期的に支払いが発生したり、頻度は低く高額な用途でクレジットカードが使えないのが原因のようです。さらに、1万円未満の小額決済では、大都市では比較的クレジットカードが使われているものの、全国で見ると利用率はかなり低めです。「こんな金額でクレジットカードなんて恥ずかしい」という日本人的感覚も原因でしょうが、そもそも生活圏にクレジットカード加盟店が少ない、という事情もあるでしょう。
その意味で、スクエアの日本上陸は衝撃的です。実質無料でカード読み取り機を配布し、誰もが「カードOK」の加盟店になれるのです。これまで決済絡みのシステム構築や運用に関わっていた企業にはまさに死活問題です。しかし、クレジットカードの普及率が低いことを考えれば、スクエア進出はうたた寝をしていた業界が活性化するチャンスでもあります。スクエアのビジネスモデルやシステムは秀逸ですが、スクエア創業者でCEOのジャック・ドーシーが愛する禅の精神は日本が育んだもの。われわれにやってやれないことはないはずです。そんな起業家が登場することを期待して、今回の特集を編集しました。
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