シリーズの中核であるMDR-10R
MDR-10シリーズの基本モデルMDR-10Rは、シリーズの中核であり基本となるモデル。アラウンドイヤー型ながら小さく軽くまとまっており、MDR-1RMK2の約240gに対して約180g(いずれもケーブル含まず)と約60gの軽量化を果たした。
イヤーパッドの感触は独特のものだが、装着感は良好。パッド自体の容量は大きくないものの、適切な部分に適切な方向から当たる感触があって快適。密閉型ヘッドホンに必要な気密性の確保も、このパッドの形状が有利に働いているように思える。イヤーパッドを不当に押し付けられるような不快感はない。
低域の情報量は十分に豊富ながら、全体的な音圧分布はフラットに近く感じられる。低域の音圧の高さこそ強くはないものの、独特の立体的な音場感が、低域の印象を強くしているように感じた。ソースによっては低域の解像感がもう少し欲しい場面もあるが、密閉型ならではの中高域の緻密な解像感と、躍動する低域との対比が面白い。実売価格は1万7800円前後。
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携帯性で選ぶならMDR-10RC
MDR-10RCは、折りたたみ機構を持ったモバイルユース特化のオンイヤー型。アラウンドイヤー型のMDR-10Rよりハウジングサイズは小さく、重さも約164gとシリーズ中で最も軽い。携帯性を考えればベストな選択になる。他のMDR-10シリーズとの共通点は、同じ40mmドライバーを使っていることくらいで、もちろんハウジングや機構部品は専用のものだ。
装着感はこのタイプとしては悪くはない。首を振ったときに側頭部に感じる慣性も少なく、装着時にも本体の軽さを感じることができる。その代わりさほど側圧は強くないため、遮音はごく普通のレベルに留まっている。
オンイヤー型のヘッドホンは、どこのメーカーでもおおむね低域の勝った特性を持っているが、やはりMDR-10RCもシリーズ中で最も低域が強い。ベースやキックの音圧を楽しみたいのなら、このモデルはオススメできる。ただし、低域の解像感を損なう場面もあるので、ベースなど楽器の音程を正確に聴き取ろうと考えるなら他のモデルの方がいいだろう。こちらも実売価格は1万7800円前後となっている。