Bluetoothに見え隠れするAppleの“意図”
Appleは、iOS 7とOS X MavericksでさらなるBluetoothの活用を打ち出している。そのキーワードが「Bluetooth LE」と「Bluetooth SMART」であり、「省電力」だ。
ややこしくなるので、ここで用語を整理しておこう。Bluetooth LEは最新規格であるBluetooth 4.0に採用された、低消費電力モードをサポートする新規格「Bluetooth Low Energy」(BLE)のこと(関連リンク1、関連リンク2)。BLEは従来のBluetooth規格と互換性がなく、既存のデバイスとの違いをはっきりさせる必要があるため、「Bluetooth Smart」というロゴが考案された。
一方、4S以降のiPhoneが掲げうるロゴは「Bluetooth Smart Ready」だ(関連リンク)。現行のiOSデバイスがサポートする「Bluetooth 4.0+HS」は、正式な規格名ではなく、省電力の「Bluetooth 4.0」と最大24MB/秒の高速通信が可能な「Bluetooth 3.0+HS」の両方に対応する、という意味で用いられている。iPhone 4S以降のiOSデバイスに関するかぎり、「Bluetooth 4.0+HS」は「Bluetooth Smart Ready」の意味だと考えていい。
AppleはiOS 5から「Bluetooth LE」に対し積極的となり、開発フレームワーク「Core Bluetooth」を充実させ、Bluetooth LE対応機器に限り(Made for iPhone未取得の)サードパーティー製機器を自由に使えるようになった。以前からある「Game Kit」もBluetoothをサポートするが、独自APIを使用するためiOSデバイス間でしか通信できなかった。Bluetooth LEを使えるCore Bluetoothであれば、Android端末やMac/Windowsとの連携も可能だ。
WWDCの基調講演終了後ほどなく公開されたBluetooth SIGの公式ブログには、iOS 7でBluetooth Smart Readyがアクセサリー接続の中心的役割を果たす、という趣旨の記述がある。確かに、カシオの「G-SHOCK」などBLE対応のスマートウォッチは増えつつあり、それら機器のハブとしての役割をiOSデバイスが担うことになるのだろう。
そして、Appleがそのトレンドを見据えたうえでのBluetooth対応強化であれば、“Bluetoothでつながる”小型軽量デバイスの可能性が俄然高まる。昔に比べ商売上手なAppleのこと、未開拓市場をみすみすサードパーティーの好きにさせるとは思えないのだが……。
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