LINE、Twitter、Facebook――。グローバルに利用者を獲得したプレーヤーがひしめき、SNS市場が飽和していくなか、あえてオリジナルのコミュニケーションアプリで挑む企業もある。成功の可否を握るのは、やっぱりスタンプだ。
グループチャットアプリ「COPAIN」のスタンプ欄に並ぶのは、かわいいイラストだけではない。「じゃーん」や「ドン!!」といった書き文字も選択できるのが特徴だ。
「擬音スタンプは、弊社の30代男性社員の声に応えて試作しました」。開発元のjig.jpのデザイナー、柳田優希氏は語る。
COPAINの場合もLINEと同様に、はじめからスタンプをアプリの目玉として採用する予定はなかったそうだ。「やってみたら、『これだ!』って(笑)」(柳田氏)。
jig.jpは、もともとフィーチャーフォン(ガラケー)向けのアプリ開発会社。
スマートフォン(スマホ)向けにアプリ開発をシフトする中で、チャットに注目したという。ガラケー時代のメールに代わるツールとして、スマホになくてはならないモノになりつつあるからだ。
「コミュニケーションは必要不可欠な要素です。今後、スマホ市場のさらなる拡大が見込まれますが、それに応じてコミュニケーションツールの市場も広がっていくはずです」。
jig.jpマーケティング部部長の大谷涼氏は、飽和しつつあるように見えるSNS市場にあえて参入した動機をこう話す。
とはいえ、同種のサービスが乱立する中で存在感を出すには、差別化が必要だ。そこでCOPAINが出した答えは、マンガ的表現の導入だった。
COPAINは擬音スタンプ以外にも、チャットのフキダシのかたちを変えたり、写真にマンガ的なフィルターをかけて共有したり、といったことが可能。先行するアプリに比べ、表現の幅は広い。
「擬音はネタなんですよ。具体的な意味を持っていないので、自由な発想でやり取りできます」(柳田氏)。
ガラケーからスマホへのシフトは、メールで長文を打つスタイルからスタンプによる意思疎通という大きな変化をもたらした。COPAINの擬音スタンプは、意思疎通の表現をさらに豊かにするひとつの回答だ。
すべてのサービスを無料で提供しているため採算はとれていないが、今後はスタンプ課金などの施策を考えているという。まだ実力は未知数だが、「なにが流行るかはわかりません」と大谷氏。柔軟なアイディアから生まれた擬音スタンプに続くユニークなスタンプアプリは現れるのか、注目だ。
この連載の記事
-
第2回
デジタル
Facebook連動スタンプはLINEのパクりか!? -
第1回
デジタル
フェイスブックはスタンプで稼がない - この連載の一覧へ