放送品質を本来の画質に近付ける
それではREGZA Zシリーズでは、こうしたアニメ特有の問題にどのように取り組んだのだろうか。TV映像マイスタとして、REGZAの映像エンジン開発に深くかかわっている住吉 肇氏は、アニメの高画質化に当たって、何をターゲットととしているかという問いに対して、以下のように答えた。
住吉 「ひとつは昔のセルアニメを再放送する際の高画質化です。S/Nがあまりよくなかったり、また当時SDだったソースをわざわざアップコンバートして流しているケースも見られます。
映像がコンポジット(輝度信号を色信号を合成した状態)でテレビ局に納品されているということもあるが、ハイビジョンでありながら、ドット妨害やクロスカラーも一緒になって出てしまう。そこはなんとか、クリアーに出したいと考えました。
ふたつめは、地デジ放送がビットレートの低いMPEG-2であることもあり、最近のデジタル制作によるアニメでも、輪郭線の周りにでてくるモスキートノイズが目立つということです。
特に2D部分のキャラクターの周辺にある、平坦部に出たモスキートノイズは、非常に気になるというところがあって、そのあたりを何とかしたいと考えました。その2点にターゲットを絞ったようなアニメモードを作るというのが今回の主旨でした。
逆に言えば今のところ、高品質なBDコンテンツをさらに綺麗に見せるというためのものではありません。あくまでも現時点ではないということですが」
【この作品もチェック!】Phantom ~ Requiem for the Phantom ~
画質検証のため、記事内でも登場している『Phantom ~ Requiem for the Phantom ~』は、ニトロプラスの人気ゲームタイトル『Phantom PHANTOM OF INFERNO』をアニメ化した作品。
アメリカの暗黒街で相次いで発生するマフィア幹部暗殺事件。その影で囁かれる謎の組織『インフェルノ』と、組織最強の暗殺者である『ファントム』の噂……。単身アメリカ旅行に訪れていた少年は事件に巻き込まれ、偶然にも『ファントム』に遭遇してしまう。『ファントム』の正体は少年と年端も変わらぬ少女アインだった! それまでの過去を消され『ファントム』のもとで数々の技術を学ぶうちに、いつしか少年は組織最高の暗殺者にまでに成長していくのだが……。陰謀が渦巻く凶暴で無法な世界にいつしか芽生える純愛の行方は……。
シナリオ原作は、昨年大ヒットした『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本や、小説『Fate/Zero』の執筆などで活躍中の虚淵 玄氏(ニトロプラス所属)。これ以外にも、ストーリー構成に『機動戦士ガンダムOO』の全脚本を担当した黒田洋介氏、監督は『NOIR』を始めとした美少女ガンアクション3部作で知られる真下耕一氏を招くなど、スタッフ陣も豪華だ。
作品に興味を持った読者は、豊富な映像特典に加え、英語音声&字幕なども付いたBlu-ray BOXもぜひチェックしてほしい!