何でもできるタブレットは、ユーザーを困惑させる
ICONIAが生まれた背景に関して山下氏は以下のように語る。
山下 「エイサーはこれまで、Aspire、TravelMateといったブランドを展開してきましたが、これらは主にコストパフォーマンスを重視した、メインストリーム製品という位置づけです。一方で業界にも変化が生じてきており、新しいラインの拡充、つまりユーザーが楽しめる製品の必要性を感じていました。そのためのブランドがICONIAです」
ICONIAはアイコンをタッチして使うという意味をこめた造語。今後のエイサーの象徴となり、ユーザーにとって初めてのタッチデバイスとなる製品を目指しているという。国内ではWindows 7またはAndroid 3.0を搭載したモデルしかないが、海外ではChrome OSやMigoなども搭載予定。新分野の開拓も視野に入れているという。
山下 「タブレットはまず最初にアップルがマーケットを作り、Macファンやハイリテラシー層が飛び付きました。次に必要なのはこれをマスに拡げることです。そこはエイサーの強みが活かせる分野であり、積極的にやるべきことだと感じています」
同じICONIAでもターゲットとする層は異なる。例えばスレートPCであればビジネス用途、F54Eであればクリエイティブ志向でコンセプト的にとんがったものを好む層となる。これらで特に期待しているのはAndroidのタブレットだという。
山下 「Androidタブレットの市場を広げるという意味で、まず最初に手ごろな価格である必要があると考えました。次にコンセプトを絞ること。多くのメーカーがアピールしている“何でもできる”タブレットは、初心者にとっては分かりにくい。逆に“何をすればいいか分からない”とっつきにくさにつながってしまうでしょう。
それではエイサーとしてAndroidタブレットで何を楽しんでもらうか。それが「HDゲーム」と「HD動画」です。無料のソフトや動画コンテンツを最初から用意し、買ってすぐに楽しめる製品を作りたいと考えました」