「ThinkPad」ブランドのノートパソコンでお馴染みのレノボでは、同社のパソコンでWindows 7を動かすときに、「Lenovo Enhanced Experience」(以下Lenovo EE)と呼ぶ独自の取り組みにより、システム全体のパフォーマンスを高めている。レノボの製品の中でも、「ThinkPad」「ThinkCentre」ブランドのビジネスユーザー向け製品と、「IdeaPad」ブランドのコンシューマー向け製品に、Lenovo EEの成果が盛り込まれている。
Lenovo EEがどのような仕組みでパフォーマンスを高めているのか、その仕組みについて、レノボ・ジャパン(株)にてLenovo EEの開発に携わる柴谷淳治氏にお話をうかがった。
快適さ向上のために
細かな検証と改良を積み重ねるレノボ
Lenovo EEにより、ThinkPadはパソコンの起動時間で業界トップクラスの性能を実現している。レノボのデータでは、Lenovo EE導入後には起動時間が57.3%、システム終了時間は39.7%も高速化されているという。このようなパフォーマンスの向上は、どういったテクノロジーで実現しているのだろうか?
柴谷氏はこれを、地道なチューニングによるものと言う。「Lenovo EEとネーミングしていますが、何か特殊なソフトウェアをインストールすることで、パフォーマンスが向上しているわけではありません。実は、地道なチューニングの結果なのです」
例えば、Windows 7の起動時間を短縮するために、起動時のCPU使用率をチェックして詳細に解析すると、起動直後にCPUが長時間停止していることがわかった。これは、OS起動時(特にBIOS)にストレージコントローラーへの不必要なアクセスが頻発して、CPUが長時間停止するためだ。
そこでレノボでは、BIOSとドライバーを改良してインタフェースを最適化した。BIOSの改良はレノボだけでできる。しかし、ドライバーの改良に関しては、レノボ以外にドライバーを提供しているコンポーネントメーカーや、マイクロソフトの協力が必要になる。そこでレノボでは、様々なデータを示して各社に協力を仰ぎ、ドライバーの改良を粘り強く訴えることで、ドライバーの改良を実現した。
この結果、OS起動直後にあったCPUの停止状態を解消して、ドライバー類の起動を前倒しできた。この改善により、OSの起動時間が約21秒も短縮されたという。
また別の改善点では、Windows 7上で動くサービスの起動状況を分析して、最適化を行ない、OSの起動完了までの時間を短縮している。サービスの起動する順序を組み替えることで、不必要なサービスの起動を遅らせたり、必要になったときにサービスを起動することで、OSの起動時間の短縮を図っている。
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