※この記事は、「徹底解剖! 成功ネットショップの現場ノウハウ」の第26回です。過去の記事もご覧ください。
個人事業主として1人でネットショップを始める場合、経費に対する考えが甘いまま見切り発車してしまい、思うような儲けに結びつかないケースが多くあります。その傾向が特に顕著なのが、ハンドメイドの商品を扱うネットショップ。仕入れ値は考慮するものの、それ以外の人件費や商品デザイン代、資材梱包代などの経費をあまり深く考えずにオープンしてしまい、後々後悔するケースは珍しくありません。
手作りピアス、アクセサリー販売の『Four seasons』(フォーシーズンズ)店主の片岡彩さんも、開業当初のその感覚は「甘かった」と振り返ります。しかし同ショップは、さまざまな努力や工夫によって着実にリピーターを増やし、一定の成果を上げることに成功しました。
人件費には目をつぶって……1ペア400円を実現
片岡さんが趣味で作っていたビーズアクセサリーのネット販売を開始したのは2002年。最初はネットオークションを利用し、本当に売れるのか事前調査を実施しました。
「当時、スワロフスキーというビーズが大ブームで、スワロフスキーを使った指輪は出品すれば売れるという感じでした。1つ1500円~2000円、高い時では5000円の値で落札されたこともあり、これならネットショップを立ち上げてもいけるかな……と」
それが、2002年にオープンした『アビーロード』というネットショップ。しかし、スワロフスキー人気が下火になるに比例して、売れ行きは伸び悩んでしまいます。
「そんな時、デパートの催事に出店する機会が何度かあったのですが、他店は『ニューヨークのジュエリー学校で学んだ作家のショップ』『天然石のみを扱うショップ』など、一言で表せる明確なコンセプトがあるのに、私には決め手になるものがない! と衝撃を受けたんです」
そこで片岡さんが考えたのが、1ペア400円という「価格」をウリにしたピアス『Four seasons』を新たにオープンすることでした。
「単なる『ビーズアクセサリーショップ』では、同様のショップは山ほどありますから太刀打ちできない。どうにかインパクトを与えたい! 1人でも多くの人の目に止まりたい! という気持ちが強く、まずは価格を打ち出してみようと思ったんですよね」
もちろん、400円という低価格のリスクは考えたという片岡さん。しかし、“多少の儲けは出る”と踏んだそうです。
「人件費に目をつぶる、という条件をつければ、多少の儲けは出る計算でした。幸い、アクセサリーは小さな商品ですから、大量に作っても在庫スペースは自宅の一室があれば十分ですし、ピアスは小さいので梱包資材費は他の商材と比べても最小限に抑えられる部類に入ります。これらを加味したうえで、まずはトライしてみたい! と思ったんです。ただし、価格で勝負することをおすすめしているわけではありません。1ペア800円にすればよかったな、という気持ちがあるのは正直なところです」
■今回の成功ネットショップ:
『Four seasons』(フォーシーズンズ)
SEを経て、2002年6月、手作りのビーズアクセサリーショップ『アビーロード』をオープン。2005年5月からは、1ペア400円、3ペア 1000円という価格をウリにした『Four seasons』(フォーシーズンズ)をオープン。楽天市場にも支店あり。年商非公開。
- URL:http://www.fseasons.net/
- 店主:片岡 彩さん