気がつけば、ジーンズが1本800円以下で買える時代になっている。デフレの善し悪しはともかくとして、「安く買える」ことは、消費者にとってうれしいことだ。
ただし、本当にうれしいのは安くて「いいもの」が買えること。仕事やプライベートの基盤ともいえるPCだからこそ、いいものを選びたいと考えるのが人情だろう。そんな中で注目なのが、「CULV」(Consumer Ultra Low Voltage)というジャンルに属する製品である。量販店などでは、モバイル・サブノートPCと区分されていることもある。富士通の新製品「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズもCULVに属する製品だ。
「制約のなさ」が魅力の「CULV」
低価格なパソコンというと、すぐに思い浮かぶのは「ネットブック」。コンパクトで低価格、という点ではありがたい存在だが、低価格さを実現するために、いくつかの制約が存在する。中でも気になる点は2つある。1つ目は、(CPUの)処理速度の遅さ。そしてもう1つは、OS(基本的に「Windows 7 Starter」)に起因するアプリケーションの選択肢の狭さだ。
インテル® Atom™ プロセッサーは低価格で消費電力が低いものの、処理速度は速いとはいいがたい。また、Windows 7 Starterは、Windows Aeroやリモートメディアストリーミング、壁紙の変更などが利用できない。どちらもサブマシンとして用途を割り切れば、受け入れられないほどの制約ではない。「割り切ってネットを使うサブマシン」という存在、ネットブックの価値はそこにある。
だが、個人がパソコンを使う場合、意外と「用途を限定できない」のも事実。価格は抑えたいが、出来る限り「普通のパソコンと同じ環境」が欲しい、と思うもの。ネットブックが拓いた「パソコン低価格化」の流れには乗りたいが、ネットブックでは満足できない……。そんな人々のニーズを満たすべく登場したのが、「CULV」というプラットフォームだ。
CULVはインテル® Atom™ プロセッサー・ベースでなく、一般的なモバイルPC用CPUと同じ、インテル® Core™ マイクロアーキテクチャーのデュアルコアCPUである。そのため性能面での問題は出づらく、またネットブックと違い「搭載OSの制約」がないため、一般的なOSである「Windows 7 Home Premium」などが搭載されて販売される。色々な意味で「縛られない」のがCULV、といっていいだろう。
今回採り上げる「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズもこのCULVに属する。CULVには、性能重視の「インテル® Core™ 2 Duo プロセッサー」系と価格重視の「インテル® Celeron® プロセッサー」系があるが、「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズの場合、両方がラインナップされている。
今回試用したのは、上位モデルにあたる「FMV-BIBLO LOOX C/E70」。CPUに「超低電圧版 インテル® Core™ 2 Duo プロセッサー SU9400」(1.40GHz)を採用し、2GBメモリーと320GB HDDを搭載したモデルである。今回はこちらにフォーカスを当ててみたい。