あなたのショップ、ベテランスタッフに頼り過ぎていませんか？
あれこれと仕事を教えなくてはならない新人スタッフに比べ、何も言わなくても業務を遂行してくれるベテランスタッフは、ショップの戦力として大変重要です。ベテランスタッフの頭の中には、あなたのショップの様々なノウハウがぎっしり詰まっています。だからこそ、安心して仕事を任せられるのです。しかし、そのスタッフがいないとお客様対応ができないとか、何らかの業務が回らなくなるとか、それに近い状況というのは非常に危険です。
ここでちょっと考えてみてください。あなたのショップに長く勤めているベテランスタッフの方がいて、その方に聞けば、ショップの業務のことは何でも分かる。逆に言うと、その方がいないと仕事を全て把握しているスタッフは誰もいないとします。そして、ある日、そのベテランスタッフさんが突然退職されることになりました。あなたのショップはどうなりますか……？
お客様との対応履歴はひとつひとつ調べればなんとかなります。しかし、肝心のノウハウについては、調べれば分かるというものではありません。一度失われてしまうと、一から再構築する必要に迫られるものなのです。
ここでいうノウハウとは、何も小難しいものではなく、あなたのショップ独自の伝票処理の方法や商品管理の方法やお客様に送るメールの雛形など、毎日当たり前に扱っているもののことです。じつは、これらの当たり前のことの中に業務を迅速に処理するコツやチェックの漏れを防ぐ方法など、傍からみているだけでは分からない、まさにノウハウというべきものが沢山詰まっているのです。
あなたのショップがオープンしてからこれまでの膨大な時間とお金を掛けて構築してきたこれらのノウハウは、その多くが、辞めてしまったベテランスタッフの頭の中だけで体系化されて保管されていたのです。即ち、スタッフの退職と共に貴重なノウハウまでが失われるのです……。
あなたのショップでは、頼りにしているスタッフが辞めたときでも翌日からの業務に支障をきたすことがない状況を作れているでしょうか？
日頃、こんなことを薄々考えてはいても、明確な対策を取れていないショップが大多数のようです。しかし、この問題に対策を打たないというのは、保険をかけずに車に乗っているようなものです。ちょっとした事故が大きな損失となり、成長力を失い、ひいては閉店に追い込まれる可能性すらあります。
ノウハウを共有する
そこで、スタッフの頭だけにある知識を日常的にみんなで共有して、組織的にノウハウを管理できるようなしくみを作っておくことが肝要です。
少しアカデミックな内容になりますが、知識には二つの側面があると言われています。
一つは日頃の業務経験や学習によって各スタッフの頭に蓄積された知識で、文章やイラストなどで具体的に表現することが難しいもののことです。このような知識は「暗黙知」と呼ばれています。暗黙知は人の経験や体験に基づくものなので、個人の主観や考え方などと深く関わりがあります。したがって、人は暗黙知によって行動していますが、その知識を形にして他人に伝えることは難しいと言えます。
もう一つは文章やイラストなどで表現できる知識で、「形式知」と呼ばれています。具体的には取扱説明書やデータベースや数式などのことで、何らかの形で明示的に他のスタッフに伝えることができる知識のことです。
スタッフ間で知識を共有するときは、スタッフ個人の暗黙知を形式知に変換する努力が必要になります。それを行うことで初めて、いつ誰が見ても理解できる状態で知識を共有できるようになるのです。簡単に言うと、仕事の仕方をきちんと文章にして全スタッフがいつでも閲覧できる形で残しておけばいいのです。そうです、「全スタッフがいつでも閲覧できる形で」というのがミソですね。せっかく文章化しても誰にも活用されないのでは、文章化する気が起きませんからね。
このようなしくみを構築することによって、あなたのショップでは、ノウハウの損失というリスクを回避できるばかりでなく、新しいスタッフが入ってきたときの教育も楽になるという大きなメリットがあります。また、ノウハウを蓄積していくこと自体が他店との差別化につながり、あなたのショップの競争力を強めることにもなると言えます。
やり方はいくつかありますが、イメージとしては、WordやExcelを開いているときに「F1」キーを押下するとヘルプが表示されますよね。あれと似たようなもので、スタッフならば誰でもが閲覧でき、かつ、容易に更新できるものだとベストです。ブログを使って構築してしまうのも楽かもしれません。
是非一度検討してみては如何でしょうか？
著者プロフィール
| 名前 | 横山 慎一郎 | maildealer［アットマーク］itboost.co.jp |
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| 会社 | 株式会社アイティーブースト | |
| サイト | http://www.maildealer.jp/ | |
