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デザインツールで変わる大学教育 第2回

伝え方を発明する授業──多摩美大永原教授に聞く

2009年03月17日 16時00分更新

文● チバヒデトシ

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大学教育とクリエイティブツール


 最後に、クリエイティブツールと大学教育に関するコメントをいただいた。

永原教授の研究室には、クラシックMacやeMateなどが並べられていた。最近の仕事はMacBookでこなしているという。大画面のディスプレーにさえつなげばどこでも快適な作業ができて便利だと話す

 情報デザインコースには、AdobeのDesign Premiumが導入されているが、「教育の事だけを考えれば(プロ用のソフトウェアは)必ずしも必要ない」と永原教授は話す。あまりにも特殊なツールでは社会に出た際に困るという面もあるが、Linuxや安価なシェアウェアを利用する手もある。

 大学としてツールを導入する場合には、ライセンス管理という問題もある。「Adobe Master Collectionのようなソフトは、一室環境をそろえなければならないという点で導入に躊躇する面がある」という。教育機関に対しては、ライセンス料は支払うとしても、一定期間、例えば大学に通う4年間はアップグレードが保証されているだけでも安心感が違うだろう。

 「(Adobe製品に代表される)プロ用ツールに対する不満は少ない」と永原教授は話す。ただし、「シンプルで専門特化していたほうが、コンピューターの深いところが分かる面がある」とも感じているようだ。例えば、かつてのPSファイルはヘッダーもシンプルで、ファイルの中身を読もうと思えばできた。このあたりは、就職に役立つスキルを学ぶというよりは、考え方を学ぶ場所という大学としての役割が関係していそうだ。

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