オンラインショッピングが人気上昇中の中国で、日本郵便がオンラインショッピングサイトをオープン、楽天市場も来年には中国進出の予定だ。
今年8月、日本郵政グループの郵便事業株式会社が、中国向けオンラインショッピングサイト「JapaNavi(ジャパナビ)」をオープンした。同じ8月には、楽天の三木谷浩史社長も来年中国に楽天市場をオープンすると表明している。
中国では、ここ数年でオンラインショッピングの利用者が急増。2年ほど前までは北京や上海、深センなどの大都市に住む利用者だけだったのが、いまや内陸の中小都市にも広がりを見せている。
中国におけるオンラインショッピングの主流は、楽天のようなB2Cではなく、ヤフーオークションのようなC2Cだ。中国のリサーチ会社「易観国際」によれば、今年第2四半期における「Amazon中国」をはじめとするB2C市場規模は約18億元(約280億円)。「淘宝網」(TAOBAO)をはじめとするC2C市場規模はその10倍以上の257億元だ。しかも市場規模はさらに成長を続けている。
個人間で取引される人気日本製品
淘宝網には、在日中国人によって取引される日本国内の商品も多い。秋葉原や新宿で、デジタル製品や化粧品を大量買いする中国人観光客の姿をよく目にするが、彼らが欲しがる日本製品は電化製品に留まらない。
9月のメラミン混入粉ミルク事件では、中国産乳製品に対する不信感が一気に広まった。このとき、高所得者層の多くが日本産の粉ミルクを求め殺到し。彼らにも日本の食品の安全性は魅力的なのだ。
2社の思惑と狙うユーザー層の違い
中国のショッピングサイトには偽物やまがい物が多いため、淘宝網よりも安心な取引で、かつ同程度の料金、品揃えを実現できれば、B2Cの楽天市場でも次第に利用者を獲得していけるだろう。
一方のJapaNaviの方向性は楽天とは異なる。同サイトは単に商品を売るというより、日本で著名な店の信頼できる商品の品揃えをアピールする。つまり中国駐在の日本人をターゲットにしているのだ。都市部の高所得者層と、上海や北京、広東省、大連などに住む日本人に照準を絞っている。彼らは母国の製品への購買意欲が旺盛だからだ。
中国全土を相手にする楽天市場と、小さいながらも確実なパイを狙うJapaNavi。来年の年末には、両サイトの成長度合いを見比べることができるだろう。
本記事は月刊ビジネスアスキー 2008年12月号から抜粋・再編集したものです。