月刊アスキー 2008年5月号掲載記事
「現時点でもう新線の建設計画はありません」(東京地下鉄・広報)。つまりおそらく都内最後となる地下鉄新線「副都心線」が、6月14日開通する。新たにできる路線は池袋駅―渋谷駅間だが、従来有楽町線新線と呼ばれていた区間も合わせ、和光市駅―渋谷駅間が副都心線となる。和光市からは東武東上線、小竹向原からは西武有楽町線を経由し、西武池袋線と直通運転を行う。いずれも池袋を起点とする路線であり、埼玉南西部の乗客が乗換無しで新宿・渋谷に行けるようになる。
比較的影響が有りそうなのはたとえば百貨店業界。従来池袋止まりの客が、渋谷や新宿へと分散化が進むと考えられる。中でも新宿は新宿三丁目と新宿南口間をつなぐ新たな地下道が生まれる。前者は三越、後者には高島屋という巨大百貨店があり、競争は激化しそうだ。駅前の風景を変える可能性という意味では東新宿に注目したい。駅近くのゴルフ練習場跡地4万平方メートルという巨大エリアの北側6割を三菱地所を中心とした会社が落札した。おそらくはオフィスビルになると予測される。
副都心線は銀座や大手町といったエリアには繋がらず、都心西部で人の流れが完結するという意味でも新しい路線である。街の重心が徐々に西側へ移動するという、東京における長年の流れがさらに加速するかもしれない。