最近では、一般のオフィスでも見かけることが多くなってきたカラーページプリンター。そのページプリンター業界で近年、従来製品より生産コストを大幅に下げられるという、技術的なブレイクスルーが起こっていた。
それがOKIデータのLEDプリンターに使われている、「エピフィルムボンディング」という接合技術だ。
一体、このテクノロジーの何がスゴいのか? 新技術には目がないアスキーの遠藤諭CCOがOKIデータの研究室に突撃取材すると、プリンター以外にもディスプレーなどに活用できる可能性を秘めた興味深い技術だということが分かった。早速、エピフィルムボンディングの開発を担当した、OKIデジタルイメージング開発部の荻原光彦部長のインタビューをお届けしよう。
高速、高精細な「LED」
遠藤 ページプリンターというと、僕らは外側しか見ていないんですが、「OKIは実は中身が全然違うぞ」と聞きました。実際、何が違うんですかね?
荻原 一番違うところは、光源に「LED」を採用しているということです。
レーザープリンターの光源はひとつのレーザーですが、LEDプリンターではヘッドの中に複数の小さなLEDが光源として並んでいます。例えばA4サイズを600dpiで出力するヘッドには5000くらいのLEDが並んでいて、それを使ってドラムに印刷前の「元絵」を書き込み、その内容を紙に転写するわけです。
レーザープリンターでは、レーザーをまずモーターで回転するポリゴンミラーに当てて、レンズを通してドラムに光を当てるため、ドットの品質を安定させるのが技術的に難しい。LEDプリンターでは、画素と同じ数だけ光源が用意されているから、高精細な出力が可能なんです。
さらにLEDには、レーザーに比べて印字速度を上げやすいという特徴もあります。レーザープリンターは、レーザービームを左右に動かしてドラムに光を当てているため、そのスキャン速度を上げるには機械的な限界がある。一方、光源を複数並べるシンプルな構造のLEDでは高速化しやすい。特にCMYKの4色ごとにLEDヘッドを用意しているカラー出力では違いが出やすいです。