月刊アスキー 2007年6月号連動記事
みなさんどうもこんにちは。6月号ではデジタルハリウッド大学院 セカンドライフ研究室の大槻透世二先生が講師を務める「セカンドライフ・トレーニング講座」の初級編に潜入してきましたよ。それからついでに宮城県は仙台市にも行ってきた。牛タンを食べたかったからじゃない。ずんだ餅も関係なし。宮城県主催のセカンドライフセミナー講師として呼ばれたのが大槻先生だったからである。
いやあ、どっちの講座もとっても盛り上がってました(や、宮城県のほうは講座の成果発表会だったけどね)。
デジハリでの講座は本当に初心者向け、それこそセカンドライフにログインしたことない人まで含めての講座。一方、宮城県は30時間でオブジェクトを作成できるところまでトレーニングするという講座だったんだけど、デジハリでの講座には日テレのテレビカメラは入ってるし、宮城県の講座のほうは定員オーバーで申し込みをお断りした企業も多かったとか。成果発表会には副知事まで来てたしね! さて、セカンドライフとはなんぞや、そしてなぜいまそこに人が集まるのかは本誌のほうでお読みいただくとして、ここでは大槻先生にインタビューしたけど本誌に載せきれなかった話を追っかけたいと思います。
インタビュー内容は、大槻先生がなぜセカンドライフ、というかバーチャルリアリティに興味を持ったかということについて聞く予定だったんだけど、わたしが最初にとんちんかんな質問をしたので冒頭は混乱ぎみ。先生、わたしもセカンドライフに入ってみましたが、なにやっていいか全然わかんなかったんです。で、いま熱中してログインしている人って、いったい何をやってるんでしょう。
「主に、コミュニケーションですね。まだ日本人ユーザーは数万人なんです。有料アカウントと無料アカウントがあるんですが、有料アカウントの人は数百人レベルなので、まだまだこれからという感じですね。全体としては4、5万人いるんですけど。そのなかで、どこが面白かったとか、こういうことすると楽しいよとか、こういじると作れるようになるよとか、そのような会話を楽しんでいる状態です」
たとえばわたし、これを最初に知ったときに、シムピープルみたいなゲームかなと思ったんですけど……違いますか、やはり。
「そうですね。ただ、シムシティを作った会社のマーケティング担当者がリンデンラボに入社しています。シムシティを世に出したマーケティング担当者だった方です」
ええっと、それはどう受け取ったらいいんだ? すごいマーケティング担当者がついているというのはわかるんだけど。この話はどういう意味を持ってるんだ? わたしの知能のレベルを超えているんですが。と、思っていたら、村っちが横から、
「セカンドライフから一端離れて、大槻先生個人の話になるんですけど、略歴を拝見すると、大学卒業→留学→就職→デジハリ大入学という按配ですが、やはり一貫してバーチャルリアリティを研究されているのでしょうか」
と、強引に話の軌道修正をした。
「そうですね」
「バーチャルリアリティに興味を持ったきっかけってなんでしょう」
「きっかけはですね、ちょうど10年前の大学生の頃、VRML(バーチャル・リアリティ・モデリング・ランゲージ)の本を読んでバーチャルリアリティの展示会に行くようになったのがきっかけですね」
なんか難しい単語が。
「バーチャルリアリティの根幹は、五感をネットでインタラクティブにリアルタイムに伝えられて、遠くに離れていても同じ体験ができるというものですが、現時点でのインターネットでは五感のうち視覚の部分しか実現していません。それも3Dにはなっていないんですね」
これまたよくわからないけど、どんなところに魅せられたんでしょうか。
「その展示会場で行っていた、メガネをかけたり、グローブをはめることでバーチャルリアリティを体験する、というデモに感動して。それ以来、毎年その展示会に行くようになりまして」
そもそも大槻先生って心理学が専攻だったはず。文系から理系の分野へ移動したわけですよね。ちょいと飛躍を感じるんですが。
「どうせやるなら面白いことをやろうと。たとえば将来ですね、僕がビジネスマンとして世界を渡り歩くようになった場合、忙しくなると家庭が疎かになるなと。そこで“どんなに離れていてもコミュニケーションがとれる”というバーチャルリアリティーの長所が生きてくるんじゃないかと。要はコミュニケーションにおいてバーチャリリアリティの技術を生かす。触覚であれば、わたしがアメリカ出張の最中でも、日本に居る息子とキャッチボールができる」
ほとんど『ルサンチマン』の世界ですね!(という漫画がある。SFなんだけど、この世界ではボディースーツというインターフェイスを使って、ギャルゲーのキャラクターの女の子と擬似恋愛というか、あんなことこんなことができるのだ)と、思わず叫んで、村っちから、
「おまいはどうしてそうバーチャルリアリティの負の部分ばかりに着目する!」
と蹴られた。ちなみに大槻先生は『ルサンチマン』を知らなかったので、丁寧に“マンガ ルサンチマン”とメモをとっていた。すごく悪いことをした気分になった。
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