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石井裕の“デジタルの感触” 第11回

石井裕の“デジタルの感触”

ビジョン駆動のデザイン

2007年10月01日 01時23分更新

文● 石井裕(MITメディア・ラボ教授)

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デザインとは新しい「眼鏡」を作ること


 しかし、なぜコンセプトが重要なのか? なぜコンセプトにそこまでこだわるのか?

 それは、私にとってのデザインとはモノを作ることではなく、新しい「眼鏡」を作ることに等しいからである。新しい眼鏡をごく自然に、無意識のうちに人々にかけてもらうのだ。

 タンジブル・ビットという眼鏡を通して世界を見ることにより、それまでは感じられなかった世界の新しい意味が、見えてくる、感じられる、予感される──。

 誰もが持っている想像力を刺激して、新しい夢を見させてくれる、そんな眼鏡を作りあげることが私のデザイン研究の目的であり、そのためには革新的なビジョンをその眼鏡に刷り込むことが必要だったのである。

(MacPeople 2006年5月号より転載)


筆者紹介─石井裕


著者近影

米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボ教授。人とデジタル情報、物理環境のシームレスなインターフェースを探求する「Tangible Media Group」を設立・指導するとともに、学内最大のコンソーシアム「Things That Think」の共同ディレクターを務める。'01年には日本人として初めてメディア・ラボの「テニュア」を取得。'06年「CHI Academy」選出。「人生の9割が詰まった」というPowerBook G4を片手に、世界中をエネルギッシュに飛び回る。



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