Apple Storeは18日、Apple Store Shibuyaにて“College Night:bend++@Apple Store Shibuya”を開催した。
College Nightとは、各地のApple Storeで行われている大学や短期大学、専門学校の学生が制作した映像作品や音楽作品などを上演するイベントのこと。
また、“bend++”とは、多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、東京工芸大学の4つの大学における、メディアアートやサウンドアート関係の研究室が協力して行なっているイベントの総称。電子楽器、身体、スピーカー、データなどをベンディング(改造)することにより、それらの未知の機能を発掘したり、新たな意味や美学の創造を試みるというのが目的だ。
今回は多摩美術大学の久保田晃弘教授が主導し、“バンド”をテーマに、6つのバンドによる音楽パフォーマンスが行われた。
一組の男女が縫合されたシャツによって絡み合い、階段を転げ回るパフォーマンスを見せたり、床に座り込んだまま演奏するなど、ユニークなバンドが揃った。
いずれのバンドも楽器を改造したり、さまざまなパーツで独自の楽器を自作したものを利用していたのが印象的だった。Macと楽器をUSBでつないでセンサーの信号を変換し、それを元に自作の楽器からサウンドをかき鳴らして、ヴォーカルやギターをかぶせるなど、独創性の高い試みを行なっていた。
ほとんどのバンドが実験的でノイジーな楽曲ばかりで、かつての実験音楽を彷彿させたが、そのサウンドを構成しているのが、昔はなかった新しい機器であることが“bend++”の精神なのだろう。
久保田教授は、イベントの狙いについてこう語る。
「楽器をやるということはインターフェイスに取り組むということなので、学生たちにはリアルタイムに何かを操作するためのインターフェイスをデザインさせたのです。既存の製品でも同じことができたかもしれませんが、あえて自分の手で作ることを一番のポイントにしました。そのため、インターフェイスを拡張する楽器や回路なども、最初から自分でオリジナルを作らせたのです。今後は、ポストGUIを目指して、もっとダイナミックに身体や空間をインタラクションさせていきたいと考えています」
美大生ならではの感性を生かし、オリジナルの楽器で未知の音世界を作り出していくこのイベントは、音楽の新しい潮流を作り出すかもしれない。