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ASCII Power Review 第217回

最新AIチップ搭載で最強AFのミラーレスカメラ=ソニー「α6700」実機レビュー

2023年08月23日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ソニーからAPS-Cミラーレス機「α6700」が発売された。ソニーAPS-C機としてはVlog向け「ZV-E10」やプロ向けカムコーダー「FX3」など動画メインの機種は登場していたが、純粋なαシリーズとしては前モデル「α6600」以来4年振りの新製品になる。正直もう後継機は無いかもと思っていたソニーユーザーとってはうれしいかぎりだ。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

7月28日に発売され量販店価格はボディーの21万6910円。写真で装着しているレンズ「E 18-135mm F3.5-5.6」とのキットは26万510円。

最新デザインでグリップも強化
サイズは変わらず軽量化も果たす

 ボディーは各所に改良はあるが基本的なデザインは前モデルを継承している。サイズもスペック上では全体に数ミリ程度大きくなっているが、手にしても気になるほどの差はなく、重量は何故か10gほど軽くなっている。大柄になりつつある最近のフルサイズ機とは違い、小型軽量ボディーを維持してくれたのもAPS-Cファンにはうれしいポイントだ。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

ボディーサイズは122(W)×69(H)×75.1(D)mm、重量はメディアとバッテリー込みで約493g。「α6600」は120(W)×66.9(H)×69.3(D)mm、約503 gだったので大差ない。

 グリップは「α6600」も従来機から改良されホールド感は良好だったが、今回はさらにサイズや形状を見直し、より手に馴染むようになった。ボディーが小柄なので手の大きい人では小指余りはあるかもしれないが、それでもしっかりと構えることができるグリップだ。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

グリップのサイズや形状が絶妙で、握りやすく安定したホールド感が得られる。

 前面シャッターボタン下にはコマンドダイヤルが新設された。後方コマンドダイヤルに背面ホイールと合わせ3つのダイヤルを備えることになり、絞り(またはシャッタースピード)と露出補正、ISO感度といった露出に関わる設定がそれぞれのダイヤルでダイレクトに操作できるようになった。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

APS-Cのαシリーズはで初めて前面にコマンドダイヤルを備え操作性が向上している。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

ダイヤル/ホイールの設定画面。「Mモード」と他の露出モードで設定を分けてカスタマイズできるのは便利。

 上面はカスタムボタンが動画ボタンに入れ替わり、シャッターボタンの位置も微妙に移動、モードダイヤルが2段式になるなどの微妙な変更されている。なお細かい点だがシャッターボタン周りの電源スイッチの突起の位置が従来機より右方向に移動している。慣れれば何てことはないのだが、最初は少し違和感があった。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

前モデルより5mm程度厚みは増しているが、それでも十分スリムに感じるサイズだ。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

モードダイヤルは撮影モードと静止画/動画/S&Q(スロー&クリック動画)切換が分離した2段式に変更。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

シャッターボタンは微妙に右前方に位置し、電源スイッチの突起も何故か正面からやや右側に移動。

 背面も「AF/MF/AEL切換レバー」が「AF-ON」ボタンに変更しカスタムボタンが一つ減っている以外はほぼ同等だが、上面も含めボタン類は押しやすいように少し大きくなりストロークも深くなっている。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

背面のボタン類のなかで特に「AF-ON」ボタンは大きく押しやすい。ただ「MENU」ボタンは少し指を延ばさないと届かない位置に配置されているので使いにくく感じた。

 マルチセレクターは搭載されていないが、「タッチパッドAF」をオンにしておけばファインダー撮影時でも液晶画面をなぞってスムーズな測距点移動ができる。また初期設定では「AF-ON」ボタンには「押す間トラッキング+AF」オン機能が割り当てられ、AFモードやフォーカスエリアにかかわらず即座に被写体を追尾して測距点が移動する。このように「タッチパッドAF」や「AF-ON」ボタンによる「トラッキングAF」を活用することでストレスのないピント合わせができた。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

「タッチパッドAF」の設定画面。ファインダー撮影時なら相対位置で操作エリア右半分に設定するのがオススメ。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

「トラッキングAF」時は「AF-C」になるが、メニューからフォーカス優先に設定しておけば「AF-S」と同様にピントを重視した撮影ができる。

 背面液晶は上方180度まで可動したチルト式からスタンダードなバリアングル式に変更された。熱狂的なチルト式信者には残念だが、これも時代の流れだろう。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

背面液晶はバリアングル式に変更。今後はメーカー問わず上級モデルは3軸(もしくは4軸)のマルチアングル。中級機以下はバリアングが主流になりそうな予感。

 メニュー画面はタッチ操作に対応した最新のαシリーズと同じタイプに。従来機のメニュー画面から一新されたので最初は戸惑うかもしれないが、慣れれば断然使いやすいはずだ。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

縦に項目が並び、横方向に進むとメニューが細分化されるので、目立ての設定を探しやすい。

 EVFの解像度は236万ドットと前モデルから変わらないが、輝度は約2倍に向上しているらしく、確かにスペックよりはクリアに見える。

 メディアスロットは独立して側面に移動し、その上下に端子類が配置されている。スロットや端子のカバーは3段階に分離いて、それぞれがキッチリ開閉するのが気持ちいい。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

側面の端子類。上部はマイクとUSB-C(PD対応)。中央がメディアスロット。下部はHDMIマイクロとヘッドフォン端子が配置されている。

 バッテリーは変わらず現行フルサイズのαシリーズと共通の「NP-FZ100」。サブカメラとして運用したい人も安心だ。公称の撮影可能枚数は約550枚をスタミナも十分。

AIプロセッシングユニット搭載で
最強の被写体認識機能を実現

 「α7RⅤ」に続きAIプロセッシングユニットを搭載し、被写体認識機能を実現した。人物や動物/鳥にくわえ、車/列車や飛行機、昆虫が選択できる。実際に試してみると被写体が明確に見えている状況ならいずれも問題なく認識してくれる。

 ただ測距点の範囲内で認識するので前ボケなど状況よってはワイドからやスポットにフォーカスエリアを切り替えるといった工夫をしたほうが認識率は高い。

 また被写体を問わず認識するオート機能は非搭載なので対象に合わせ切り替える必要があり、被写体認識オンだと稀に誤認識をすることもあったので、カスタムボタンに被写体認識のオンオフや認識対象の切換機能を割り当てるといいだろう。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

被写体認識の設定では認識のオンオフと対象の切換が別の項目になっている。使い勝手を考えるとここは統一してもいいのでは?

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

被写体認識を鳥に設定、フォーカスエリアはワイドで撮影。かなり距離があったが、しっかり瞳を認識していた。「70-200mmF4」 ・F4・1/2500秒・ISO400。※追記がない限り作例の設定は以下共通。JPEGエクストラファイン・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

このように前後の被写体でピントを変えたいときは被写体認識よりはフォーカスエリアをスポットにして切り換えたほうが確実だと思う。「70-200mmF4」・F4・1/1250秒・ISO640。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

前ボケがあるシーンではフォーカスエリアがワイドだと認識しにくいので、ゾーンに変更し画面右側に測距点を配置して撮影した。「70-200mmF4」・F5.6・1/500秒・ISO100。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

飛行機認識のテストをするいつものスポットで、いろいろとフォーカスエリアを変えて試してみたが、このシーンではスポットよりワイドのほうが少し認識は素早いように感じた。「70-200mmF4」・F4・1/3200秒・ISO160。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

暑さでバテる近所のネコ。こんなシーンでも後頭部を認識していた。「18-135mm」・F5.6・1/60 秒・ISO100。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

ネコを別日に発見。目つぶりと手前の小枝のせいでなかなか認識せず。何故か「トラッキングAF」が一番認識してくれた。「18-135mm」・F5.6・1/60 秒・ISO1600。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

カメが被写体認識の対象かは不明だが、瞳が見えていると認識することがあった。「70-200mmF4」・F4・1/100秒・ISO125。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

被写体認識を昆虫にして撮影。木の枝と同化しているせいか認識率は少し低め。もしかしたらセミは対象外なのか?「70-200mmF4」・F4・1/250秒・ISO800。

センサーの画素数は変わらないが
高感度の画質は向上

 撮像素子の画素数は2600万画素と前モデルの2420万画素と大差はないが、実際に撮影した写真を拡大して見ても細部まで精細に解像されている。

 撮っていて気が付いたのはテキパキとピントが合うAFの心地よさ。特に「トラッキングAF「は粘り強く移動するので、まず被写体にピントを合わせ、その後構図を変えて撮影するスナップに向いている。つい新機能の被写体認識に目がいくが、基本的なAF性能もかなり優秀に感じた。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

線路の高架下の壁画を撮影。拡大して見ると壁の質感がしっかり解像されている。日陰だったのに色乗りがいい発色も好印象。「18-135mm」・F3.5・1/100 秒・ISO100。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

ビルに写り込んだ雲空。硬質な窓ガラスはシャープに。雲は対照的に滑らか描写されている。「18-135mm」・F5.6・1/640 秒・ISO100。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

よく撮る近所の神社。まず狛犬の瞳に測距点を合わせ、その後「トラッキングAF」で構図を整えた。「18-135mm」・F4.5・1/320 秒・ISO100。

“最強AFのミラーレスカメラ「α6700」実機レビュー”

この写真のように画面の一部分だけにピントを合わせたいときは、「トラッキングAF」よりフォーカスエリアをスポットにしたほうがよかった。シーンによって使い分けが大事。「18-135mm」・F5.6・1/80 秒・ISO200。

 また裏面照射型になったことで高感度の画質には期待が持てる。最高感度は常用でISO32000、拡張でISO102400まで設定が可能。ノイズ処理の影響はISO6400程度からを感じ始めるがISO12800程度までは実用できる範囲。それ以上になるとノイズや解像感低下が気になるが、細部を拡大して見なければ常用最高のISO32000までは許容できる。

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