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ASCII Power Review 第173回

ついに登場したEOS RFマウントのAPS-Cモデルを発売前に試写

最速「EOS R7」実機レビュー = さすがキヤノンの最上位APS-Cカメラの写りだっ!!

2022年06月10日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 キヤノンRFマウント採用のミラーレス機「EOS Rシリーズ」に、ついにAPS-Cサイズの撮像素子を搭載した「EOS R7/R10」の2機種がラインナップされた。

 キヤノンのAPS-Cミラーレス機には既にEF-Mというシリーズはあるが、RFレンズという共通のマウントでフルサイズとAPS-Cを使いたいという声も多かったので、ユーザーにとっては朗報だろう。

 今回はこの2機種のうち、上位モデルとなる「EOS R7」を試用した。「EOS」ユーザーなら「7」という名称からはAPS-C一眼レフのフラッグシップだった名機「EOS 7D」シリーズを思い浮かべるはず。はたして「EOS R7」は新たなAPS-Cフラッグシップになるのか?実際に撮ってみて感じた印象をお伝えしよう。

 なお試用した製品は発売前の評価機なので、動作や画質などは実際の製品とは異なる可能性がある。

発売は6月下旬の予定。量販価格はボディーのみ19万7780円、「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」とのレンズキットは24万6180円。

APS-Cモデルながら、さすがキヤノン・クオリティーの仕上がり

 まずボディーを手にしてみる。グリップはもう少し細身の方が好みだが、それでも指が掛かりよく、小指が余ることもないのでホールド感は良好だ。

 サイズはフルサイズ機の「EOS R6」と比べても、幅と高さが6~7mm程小柄で重量は約70g軽量と、それほど小型軽量というわけではないが、このホールド感のおかげか数値以上に軽く感じられた。

ボディーサイズは132.0(W)×90.4(H)×91.7(D)mm、重量はバッテリーとメディア込みで612g。

 上面操作系も「EOS R6」に似たシンプルな配置。上位モデルとしてはモードダイヤルのロックや液晶パネルが非搭載なのを気にする人がいるかもしれないが、実用上困ることは無いだろう。

操作系は電源スイッチを含め全て右側に配置され使いやすかった。

 電源スイッチは上面右側に変更された。片手で持ち歩いていても右親指で即座に電源操作ができるのは好み。ただ電源スイッチは動画モードの切換も兼ねていて、慣れないうちは間違えることもあった。

上面右側に配置された電源スイッチ。記憶が確かならEOSシリーズでは初めてのはずだ(従来は背面か上面左側だった)。

 操作系で注目なのが背面の「サブ電子ダイヤル」だ。「EOS」初期から操作系の象徴といえるホイールダイヤルの中央キーをジョイステックタイプのコントローラーに変更し、さらにファインダー右に移動にした。構えた時に自然に右親指の位置にくる配置なので露出やAFがスムーズに設定できた。

ホイールでは絞りなどの露出系、中央のコントローラーでは測距点を移動。さらにコントローラーを押すと測距点のリセットやトラッキングのON/OFFなどの機能を割り当てられる。

 また十字キーは上下左右の各キーに割り当て機能をカスタマイズできる。例えば本体の操作系で唯一左側にある「MENU」ボタンを十字キーに割り当てれば、右手の指だけですべての操作が可能になる。

ファインダー横の「サブ電子ダイヤル」が特徴的な背面の操作系。液晶ディスプレーは162万ドット、タッチ操作対応のバリアングル式。

 ホットシューは「EOS R3」から搭載された「マルチアクセサリーシュー」を採用。ストロボ調光や外部マイク、スマホアダプターなどのアクセサリーが使用できる。

ストロボ接点に加え、電源供給が可能な端子を備えた「マルチアクセサリーシュー」を採用。なお防滴防塵の面から未装着時はカバーの使用が推奨されている。

 ボディー前面には「フォーカスモードスイッチ」を搭載。AF/MF切換スイッチ非搭載のレンズでも、即座に切換が可能だ。

ボディーでAF/MFが切り換えられるが、AF/MFスイッチを搭載しているレンズでは、レンズ側の設定が優先される。

 EVFは236万ドットと今時にしては控えめの解像度だが、覗いてみると表示は精細で滑らか。倍率もフルサイズ並に大きく不満は感じない。

 メディアは信頼性という点で安心のUHS-Ⅱに対応したデュアルスロットを採用。

 バッテリーは現行のミドルレンジクラスと共通の「LP-E6NH」。公称値はファインダー撮影で約380枚だが、実際はそれ以上撮影することができ、「EOS R5/R6」と比べても段違いのバッテリー持ちに感じた。縦位置バッテリーグリップが用意されないのは残念だが、バッテリー容量の面では予備とUSB充電で十分カバーできそうだ。

バッテリーは「EOS R5/R6」などと共通の「LP-E6NH」。ちなみに初代「EOS 7D」で採用さてれていた「LP-E6」も使用可能だ(USB充電は不可)。

丸一日撮影したときのバッテリー情報。連写の撮影が多かったこともあるが、それでもかなりの枚数が撮影できた。

APS-C用新レンズで3250万画素の写りを体感
AF性能は最先端トップレベルだ!

 「EOS R7/R10」と同時にRFマウントのAPS-Cレンズ、「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」と「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の2本が登場した。今回の試用で紹介する作例は全てキットレンズになっている「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」で撮影した。

「EOS R7」のキットレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」。APS-Cレンズということもあり、高倍率ズームしてはとてもコンパクト。なおEFマウント時代のAPS-Cレンズはフルサイズ機には装着できなかったが、RFマウントならフルサイズ機でも使用できる。

 撮像素子は3250万画素で、現在(2022年6月時点)発売されているAPS-C機では同社の「EOS M6 Mark II」や「EOS 90D」と並ぶ高解像度となる。実際に撮影した写真を見ると、拡大しても細部まで精細に解像されている。さらに強調しすぎないシャープネスやコントラストの自然な写りが好印象だ。

ピントが合った石造の質感を精細に写している。焦点距離35mm・F5.6・1/125秒・ISO100。(クリックで拡大表示)。以下特記しない限り、ホワイトバランスオート、ピクチャースタイルオートで撮影。

拡大して見ても葉の一枚一枚が細部までしっかりと解像している。焦点距離45mm・F6.3・1/100秒・ISO100。

太陽が現れるのを待っていたときに撮った何気ない一枚。明暗差がある雲の階調が豊かに再現されている。焦点距離18mm・F3.5・1/2000秒・ISO100。

適度なシャープネスやコントラストでメリハリはあるが、それていて柔らかい印象もある写り。焦点距離150mm・F6.3・1/400秒・ISO100。

 キットレンズは厳密に見ればわずかに広角周辺の乱れや、近接や望遠で像の甘さもあるが、実用上は気になるほどではない。ボディー内でのレンズ補正のおかげもあり(レンズ光学補正は初期設定のまま)コンパクトな高倍率ズームとは思えない整った描写だ。

 ただ画角は18-150mm(35mm換算29-240mm)と一般的な標準ズームより広角側が少し狭めである。APS-S専用のEF-S/Mマウントには15mmスタートのズームがラインナップされていたので、RFマウントでも是非登場を期待したい。

焦点距離18mmで撮影。絞り開放だがピント部はシャープ。周辺は少し像の乱れはあるが気になるほどではない。F3.5・1/1250秒・ISO100。

焦点距離150mmで撮影。望遠では近接で描写が甘くなることもあるが、中遠景(2~5m位)の位置ならシャープに写る。F6.3・1/320秒・ISO100。

焦点距離18mmで撮影。逆光で太陽を写し込んでみたが、フレアは目立たずゴーストも少ないクリアな写り。F5.6・1/1600秒・ISO100。

高倍率ズームだが最短撮影距離が短く、広角24mmまでは約17cm、望遠150mmでも40cmまで近寄ることができた。写真は最大倍率になる焦点距離50mmで撮影。F6.3・1/60秒・ISO800。

 最高連写速度は電子シャッターで秒30コマ、メカシャッター(電子先幕も含め)で秒15コマ、ともにAF/AEは追従する。だたし電子シャッターは積層型ではないので動いている被写体では歪みが発生する場合がありストロボの使用もできない。

 メカシャッターの秒15コマはフラッグシップモデル「EOS-1D X Mark III」の秒16コマに迫る速度だ。連続連写ではメカシャッターで約80枚、電子シャッターでは約60枚、UHS-ⅠのSDカードでRAW+JPEGの場合、JPEGのみならメカシャッター約260枚、電子シャッター約120枚でバッファ詰まりが始まる。

動物の被写体認識を試していた時に。偶然飛んでくる鳥がいたのでカメラを向けると、AFがしっかりと捕捉し続けてくれた。突然だったので露出アンダーなのはご勘弁を。電子シャッターの秒30コマ連写で撮影した写真からGIFを作成。焦点距離150mm。F7.1・1/4000秒・ISO640。

 また連写機能ではRAWで電子シャッターで秒30コマ、さらに約0.5秒のプリ撮影が可能な「RAWバーストモード」も搭載。JPEGの書き出しにはカメラ内か専用ソフトでのRAW現像が必要だが、シャッターチャンスが難しい被写体の撮影で活躍してくれる。

スズメの縄張り争いを「RAWバーストモード」で撮影。飛び立つ瞬間が写せた。撮影した写真の一部をトリミングして掲載。焦点距離150mm。F6.3・1/4000秒・ISO1250。

 撮影していて秀逸と感じたのがAFのトラッキング(追尾)性能の高さだ。人物や動物、レーシングカーなどの被写体認識時はもちろんだが、SERVO(AF-C)の場合は一度測距点で捕捉すれば、その後に被写体もしくはカメラを動かしても自動的に追尾し続けてくれる。

 ONE SHOT(AF-S)の場合は「トラッキングON/OFF」機能を使えば、即座にトラッキングAFに切換られる。

 例えば街中のスナップでも、まずはピントを被写体に合わせ、その後トラッキングAFを開始して構図を決めるという撮り方が可能だ。今までは指先で測距点を移動していたが、迅速に撮影をしたいならトラッキングAFのほうが有利である。トラッキングAFは最近の流行だが、上位モデル「EOS R3」から受け継いだAF性能は他よりワンランク上の精度である。

被写体認識を動物に設定。この程度のアップなら瞳を認識し追随してくれる。焦点距離150mm。F6.3・1/250秒・ISO100。

AFロックや測距点移動で撮影していたスナップも、トラッキングを活用すると新鮮な感覚が楽しめる。焦点距離150mm。F6.3・1/100秒・ISO1250。

キヤノンのAPS-C最上位モデルとして、予想を超えた仕上がり!

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