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【ピラティスインストラクターの健康的ラーメンライフ♪】第26回

千葉県柏市『中華そば 榮田』。銘店多賀野の味に惚れて弟子入りした店主が作る、4種の出汁と自家製麺が織りなす美味ハーモニー

2023年11月17日 12時00分更新

文● 大熊美智代 編集● ラーメンWalker

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 いまラーメン激戦区・千葉県柏市が熱い! 次々と新店がオープンするなか、2023年2月17日に独立開業した『中華そば榮田』は、新店ながらトップレベルの実力だ。店主の榮田潤悦さんは、中延の銘店『中華そば専門 多賀野』出身。埼玉の『とんちぼ』、神奈川の『時雨』『笑歩』と多くの人気店を輩出した多賀野から、銘店の味をより色濃く受け継ぐ榮田店主。4種の基本スープを中華そば、つけそばに合わせてブレンドを変えつつ、自家製麺と合わせたその味は? 多賀野イズムのなかに独自の個性が光る!

中延の銘店『中華そば専門 多賀野』イズムを受け継ぐ店が千葉県柏市にオープン

 榮田潤悦さんは秋田県出身。子供の頃から親に連れられ外食に行くと、たいていラーメン店だった。大学時代を過ごした仙台でもラーメンを食べ歩き、隣県・山形の名店『龍上海』まで遠征したこともあるそうだ。IT企業に就職してからは、東京と横浜を移動することが多く、その頃から本格的にラーメンを食べ歩くようになる。そのうち『中華そば専門 多賀野』に頻繁に通うようになった。「ちょうど自家製麵に変わった頃に食べて、美味いなって思ったんです。そこからずっと通い始めて、食べ歩きの3軒に1軒は多賀野でしたね」と榮田さん。いつしかラーメン屋になりたいと思うようになり、2018年に仕事を辞めて弟子入りする。「修業するなら多賀野しか考えられなかった。このラーメンしか作りたくなかった。それくらい好きだったんです」。

『中華そば 榮田』店主の榮田潤悦さん。常連時代から筋金入りの多賀野愛をたっぷり語ってくれた

 大学時代に焼肉屋の厨房でアルバイト経験はあったが、接客は始めてだった。接客の素晴らしさに定評のある多賀野だが、「接客に関して細かいルールはないんですよ。自分で考えてやって、だめだったら、そこはこうやりなさいというスタンス。だから歴代の修業した人と僕のやり方では全然違うと思います。ラーメン作りは、スープも自家製麺も丁寧に全部教えてもらって、ここまでこれたのも多賀野のおかげです」。4年の修業期間を経て、2023年2月17日、千葉県柏市で『中華そば榮田』を開業した。

『中華そば 榮田』。柏駅東口徒歩13分、レイソル通り沿いにひっそりと佇む落ち着いた店構え

 駅から遠い場所だったが、「食べたいと思ってくれれば来てくれる」と漠然とした自信は、多賀野の大将からも後押しされて確信に変わった。柏駅からレイソル通りを進んでいくと、見通しのよいところで『中華そば榮田』の行列が見えてくる。オープンから8カ月、ラーメン激戦区ながら、この店を選んで並んでも食べたいと思ってくれる人が大勢いる。

カウンター4席、2名テーブル×2の計8席。厨房が見えない作りで落ち着いて食べられる

複数の出汁合わせで、多賀野イズムを感じるスープがとにかく美味い!

 多賀野愛あふれる榮田さんが、「このラーメンしか作りたくなかった!」という一杯を作っていただいた。

スープは注文毎に小鍋で温め、追い煮干しをして注ぐ

 まずは、基本の「中華そば」から。蛸唐草模様の反高台丼に盛りつけられ、大判の海苔がすべてを覆うようにのった、見た目から多賀野イズム感じる一杯。

「中華そば」900円。大きな海苔で全貌が見えない分、その下が楽しみ♪

 海苔で丼の中が見えないビジュアルのため、「横から撮られる方もいますよ」と、教えていただいた角度で撮ってみる。

海苔をよけずに上手に撮れる角度がこちら

 続いて海苔をよけて、「中華そば」を拝顔。

「中華そば」の海苔をよけると、チャーシュー、メンマ、ネギが端正に並ぶ

 ふんわり漂うよい香りを楽しみながら、まずはスープを一口。動物系と魚介出汁なのだが、どれかが突出することなく、バランスよくまとまった味わい。そこに醤油がキリッと効いている。「中華そばは、魚介と動物系を合わせた基本のスープに、魚介だけのスープの2つを合わせて、そこに追い煮干しをしています。醤油ダレは、僕が秋田出身なので、秋田の醤油を使ってます。だから、多賀野よりも醤油感は強いですね」。

基本は多賀野を忠実に、その先は榮田店主オリジナルの味を求めて秋田の醤油を使用

 多賀野で自家製麺が始まったのは、2013年から。榮田さんは、直接手ほどきを受けた数少ない弟子の一人だ。独立の際、購入した製麺機が店内の片隅に置かれている。毎日打つ自家製麺は、「小麦粉は4種類を配合して、中華そばとつけそば用に2種類の麺を打ってます。基本は多賀野で教わった作り方だけど、製粉会社が違うので少し変えてますね。中華そばの麺は、啜る感じを出したくて、加水高めで切り刃も細めなので多賀野とはかなり違います」とスープ同様、オリジナリティも加わった榮田の味だ。

少し細く長めで、啜り心地のよい麺を目指した

2種のつけそばで自家製麺の本領発揮。師から受け継いだ粟国の塩使い

 一方、つけそばは流行にとらわれず、やや太めでしっかりした麺にこだわる。「いま流行の細麺でもないし、柔らかくもないし、あごが疲れるのを目指してます(笑)」と笑顔で語る榮田さんに、師から受け継いだ大切なものを感じる。

「特製塩つけそば」1300円。噛み応えのある自家製麺はそのまま食べても美味しい

 つけ汁は、魚介と動物系を合わせた基本のスープに、魚介だけのスープ、動物だけのスープ、つけそば専用のスープの4つを合わせている。そして、中華そば、つけそばとそれぞれに醤油と塩があり、塩ダレには多賀野と同じ粟国の塩を使っている。

「粟国の塩を勝手につかっている店」の張り紙があるラーメン店は多賀野と笑歩、榮田だけ

 多賀野の大将は、開業時にTwitterで応援したり、店にも顔を出してアドバイスをしたり、榮田さんのことをとても気にかけてくれる。大将だけではない。柏でオープンした際、「最初の3カ月は多賀野の常連さんで持ってたんじゃないかってくらい、毎日のようにいろんな人が来てくれて。大将にも食べに来たことを報告してくれて、嬉しかったですね」。

特製は、煮豚バラ・味付の異なる低温調理のロースと肩ロースチャーシューと肉たっぷり

 もちろん、榮田さんが目指すのは多賀野のような、常連が集う地域密着の店だ。「僕が多賀野にいた時、コロナを経験して。お持ち帰りも販売しましたが、それよりも食べに来る人のほうが多かった。地元の人に支えられたのを目の当たりにしたんです。だから、目指しているのは地元の人に来ていただける店。それは、これからも変わらないですね」。

飽くなき向上心で、美味しいラーメンを目指す榮田店主

 時折、原点に戻って、多賀野を訪れる榮田さん。「基本の美味いベースがある。そこから上は変わって当然だというのが多賀野なんです。その日の天気や気温、食材も同じようで毎回違うから、同じ味を求めるな。今ある食材でどう美味く作るかを考えろって、修業時代よく言われましたね。それをずっと心掛けてます」。常に進化し続ける現役の師に刺激を受けながら、榮田店主もさらに上を目指す。千葉県柏市に『中華そば 榮田』が開業してくれて本当に嬉しい。毎日食べたい、並んででも食べたい美味しいラーメンが、ここにあるからだ。

中華そば榮田
千葉県柏市千代田2-2-6
11:30〜15:00
月曜・隔週火曜休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッターをご確認ください。

大熊美智代 Michiyo Okuma

ラーメン大好きなフリーランス編集者・ライター。ピラティスやヨガのインストラクター、ヤムナ認定プラクティショナー、パーソナルトレーナーとして指導も行なっており、美容と健康を心がけながらラーメンを食べ歩く日々。ラーメンの他には、かき氷、太巻き祭りずし、猫が好き。

本人Twitter @kuma_48_kuma
Instagram @kuma_48anna

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