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AIの台頭で編集者の仕事はなくなる?

AIとアートの融合「第一回AIフェスティバル」でクリエイティブの未来を感じた

2023年11月06日 14時30分更新

文● 八尋 編集●ASCII

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編集者は仕事がなくなる?

メディアアーティストの八谷和彦さん(左)、落合陽一さん(右)、コルク代表・編集者の佐渡島庸平さん(中央)が登壇

 2つめのトークセッションでは、メディアアーティストの八谷和彦さん、落合陽一さん、コルク代表・編集者の佐渡島庸平さんが登壇しました。

PostPet(ポストペット)を手掛けた八谷さんは、現在「風の谷のナウシカ」に登場する乗り物「メーヴェ」をつくっているそうです

コルグ代表の佐渡島さん

現在のAIを駆使した取り組みを紹介していました。

落合さんは「落合陽一×日本フィルプロジェクト」の模様などを紹介していました

AI×仏像・祈りに興味があるという落合さん

AIが生み出した仏像を実際に作ったとのことです

実際に展示されています

 こちらのトークセッションでは、佐渡島さんが「今後編集者はいなくなる」と発言されていました。自身も漫画ではないですが編集者としても活動しているので、他人事ではないなと思いながら、聞いていました。

 佐渡島さんは「AIは、時間制限なく漫画家さんに付き合ってくれますけど、人間の編集者では時間の制限があります。漫画家へのフィードバックの精度も上がってきているので、今後編集という仕事はなくなるかもしれませんね」とのことでした。

編集者の仕事はなくなるかもしれないと佐渡島さんが話していて、ちょっとドキッとしました

AIとうまく共存していくことが重要

 ご自身が編集者である佐渡島さんがこれをいうのはすごいなと思いましたが、佐渡島さんもAIとうまく共存していくという方向性で動いているようで「AIはアイデアや絵を作ってくれますが、“技術力の高さ”と“売れる”というのは直接結びついてないんです。漫画において成功するには、売れると芸術的の丁度中間あたりの作品がいいと思うんですけど、AIはその中間点までは探ってくれません。編集者はいらなくなるかもしれないですが、商業を作り出すということは、まだできないと思っています」と話していました。

 このお話を聞いて、今後はAIによって目まぐるしく仕事が変わってくるかもなとも思いましたが、上手く使うということの重要さはあるなとも感じました。

 続けて佐渡島さんは「AIとの会話をきっかけに、アイデアが溢れ出すなど、途中途中でのモチベーションコントロールとしても刺激を与えてくれるので、商業作品を作るうえでの時間を短縮してくれるだろうと考えています。代替はしないと思いますけど、家事を白物家電が助けてくれるという感覚に似ていますね。今後はAIによって何がクリエイターの収入になり、何がサポート役の人の仕事になるのかも、変わっていくと思うので、そこを試行錯誤しているところですね」とも話していました。

 これに対し八谷さんは「AIを使って作品を作っていく人が増えて行くと、編集者や教育者の仕事がなくなるかもという不安はありますけど、逆に編集者がこうやっていくとよりマーケットが広がるとか、教育者が上手く駆使するとより多くのアーティストが世に排出されたりというのもあると思います」と返していました。

AIを上手く駆使する、共存することで仕事の内容は変わるかもしれないがよりよい世界になると話す八谷さん

褒めるAIを作るのが重要なタスク

 落合さんは、AIアートについて「面白きゃいいなと思っています。なんだかアタリショック(1983年から1985年にかけての北米家庭用ゲーム市場の崩壊)を思い出しますね。アタリショックは、プラットフォームの上のものが面白くなくなったのが原因なんですけど、今は世の中にAIが入ってきているので、世の中自体が面白くなくなったら、世の中が面白くなくなるだけなので、大丈夫だと思います。世の中自体から離脱するのは、大変じゃないですか」とコメント。

AIアートはどんどん登場すればいいとはなす落合さん

 続けてAIアートの今後について「今後はAIアートというものがたくさん作られていくと思うので、それに移行して“褒めてくれるAI”を作らないと、満足度が上がらないんじゃないかなと考えています。ある程度人間のように褒めてくれるAIが出てきて、慣れてくればべつに褒めてくれるのが人間じゃなくてもよくなると思いますよ。ファンボットを作ると平和になるので、重要なタスクだと思っています」と独自の見解を話していました。

 八谷は、アイデアの源について聞かれ「私はアイデア自体には価値がないと思っていて、最後まで作り切ることが大切だと思っています。今回のコンテストに応募された方は、最終系のかたちにしているので、すごいと思います。アイデアがどうこうというより、最後まで作るというのが大事なんです」と返していました。

 これに対し佐渡島さんは「やり切れないというときに、AIが代わりにやりきってくれたりすることもあります。AIと一緒に作るとやり切れることもありますし、ちょっと楽になると思いますよ」と話していました。

 最後に落合さんは「AIでものを作っている人が大好きなので、今後も盛り上がっていけばいいと思っています」とコメントし、トークイベントを締めくくりました。

 今までAIを使ったことはあまりなかったですが、当たり前のように使っている人たちの話や作品を見て、今後は学んでいったほうが面白い未来が待っていそうだなと感じました。

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