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【国内初】気球で宇宙遊覧 高度1万669mの成層圏に到達成功

 岩谷技研は10月14日、北海道南富良野町にてフリーフライト有人飛行試験を実施し、最大到達高度1万669mの成層圏に到達した。

最高到達高度1万669m到達時の窓外風景

 岩谷技研は、高高度ガス気球、並びに気密キャビンを設計/開発/製造し、気球による宇宙遊覧を目指す宇宙開発企業。

 2022年2月に福島で実施した係留飛行試験以降、徐々に高度を上げ飛距離を延ばしながら毎月のように道内外で飛行試験を重ねてきたという。今回の有人飛行試験での成層圏到達成功により、同社は以下3つの点において、国内初の企業となったという。

・人を成層圏まで運ぶための有人気球を開発・製造し運用できる
・減圧環境に耐える気密キャビンを開発し運用できる
・与圧キャビンを作るために必要な独立した生命維持装置を開発できる

最高到達高度1万669m到達時のキャビン内風景と岩谷技研研究開発部の及川明人パイロット

 今回の実験パイロットである岩谷技研研究開発部 及川明人氏は、同じく日本初という成層圏をガス気球で飛行したパイロットとなった。

■10月14日実施の実験概要
実験目的:成層圏の低圧環境における与圧キャビン及び生命維持装置の運用試験、また同社気球による高度1万m越への到達が可能なことを実証
離陸地点:北海道 空知郡 南富良野町 字 東鹿越
離陸時刻:05時02分
着陸地点:北海道 中川郡本別町 押帯地区
着陸時刻:07時23分
飛行距離:73.43km
飛行時間:141分
到達高度:1万669m

打ち上げから30分、朝日を浴びて飛行するT-9 III気密キャビン

帰還時、パラシュート状になり空気を受けながらゆっくり降下する同社製プラスチック気球

■自社開発キャビンとガス気球による打ち上げ/飛行試験:これまでの開発経緯
2020年7月 有人宇宙遊覧プロジェクト始動
2021年6月 T-3気密キャビン|無人打ち上げ試験で気密キャビンを成層圏へ打上/回収
2022年2月 T-5キャビン|有人係留飛行試験で高度30mに到達
2022年7月 T-5キャビン|有人係留飛行試験で高度50mに到達
2022年10月 T-5キャビン|有人自由飛行試験で高度50mに到達
2022年11月 T-5キャビン|有人自由飛行試験で高度102mに到達
2023年2月 T-5キャビン|有人自由飛行試験で高度408mに到達
2023年3月 T-5キャビン|有人自由飛行試験で高度1190mに到達
2023年4月 T-5キャビン|有人自由飛行試験で高度2843mに到達
2023年7月 T-9気密キャビン|有人自由飛行試験で高度6072mに到達
2023年10月 T-9気密キャビン|有人自由飛行試験で高度1万669mに到達(今回)

■関連サイト

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