Windows Server 2012終了を控えウェビナー開催、導入企業の評価ポイントを紹介。移行キャンペーンも

「経営層、IT管理者、従業員のみんながうれしい」ファイルサーバーのDropbox移行術

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: Dropbox

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 サーバーOS「Windows Server 2012/2012 R2」(以下「Windows Server 2012」と略記)の製品サポートが、今年(2023年)10月10日で終了する。

 7月13日、ソニービズネットワークスとDropbox Japan、SB C&Sが共催したウェビナーでは、Windows Server 2012のサポート終了に伴ってファイルサーバーの移行を考える企業向けに、ビジネス向けクラウドストレージ「Dropbox」の特徴や機能、導入顧客が語るメリットや導入後の業務改善の実態などが紹介された。

 本記事では、このウェビナーで紹介されたポイントをダイジェストでお届けする。

ウェビナー「Windows Server 2012からの脱却! 成功するファイルサーバー移行戦略とは?」を開催

オンプレミスのファイルサーバーでは得られない「3つのメリット」

 Dropbox Japan パートナー営業本部の福地高志氏はまず、Windows Server 2012のサポート終了によって「セキュリティ更新プログラム(パッチ)の提供終了」「サポート窓口の終了」「DX推進の妨げ」といった影響が生じると指摘する。端的に言えば「サポート終了後もWindows Server 2012を使い続ける」という選択肢はありえず、移行は必須となる。

 ただし、ここで最新OS(Windows Server 2022など)を搭載したオンプレミスサーバーに移行するのであれば、数年後にはまた同じことを繰り返さなければならない。「オンプレミスサーバーを持っているかぎり、EOS(サポート終了期日)をスケジュールに入れて、その後の対応を考えなければならない」(福地氏)のだ。

 Windows Server 2012が登場した当時とは違って、現在はクラウドサービス(SaaS)の利用が一般的なものになっている。クラウドストレージも同様であり、ファイルサーバーからクラウドストレージへの移行は現実的な選択肢である。なかでも有力なサービスがDropboxだ。

 Dropboxは世界最大規模のクラウドストレージ専業ベンダーであり、7億人以上のユーザー数を誇る。“コンシューマー向けサービス”のイメージを持つ方も多いが、ビジネス向けプランも10年以上前から提供している。グループ管理やセキュリティなど、企業での利用に役立つさまざまな機能強化を継続的に行っており、現在ではビジネス向けプランの導入数は60万社を超える。オンプレミスのファイルサーバーからDropboxに移行した企業も多い。

 「Dropboxは、会社規模や業種を問わずさまざまな企業でご利用いただいています。特に社内外とのやり取りを頻繁に行う建設業のお客様、動画などの大容量コンテンツを多く取り扱うメディアのお客様、また大学などの教育機関、研究機関では非常に多く採用いただいています」(福地氏)

Dropboxは世界60万社以上が活用するビジネス向けクラウドストレージ

Dropboxビジネスプラン国内導入事例の一部(社名公開の許可が得られた企業/組織)

 オンプレミスのファイルサーバーからDropboxに移行することでどんなメリットがあるのか。福地氏は大きなメリットとして3つを挙げる。

ファイルサーバーからDropboxへの移行で得られる「3つのメリット」

 まずは「OSサポート終了からの脱却」だ。前述したとおり、オンプレミスのファイルサーバーでは、OSのサポートが終了するたびに最新OSのライセンスやハードウェアを購入し直し、古いサーバーからすべてのファイルを移行する――といった作業が発生する。Dropboxに移行すれば、こうした無駄な作業の繰り返しから脱却できる。

 運用管理負担も低減される。Dropboxならば、ハードウェアのメンテナンスや緊急の故障対応といった作業は不要だ。さらに、ストレージ容量が実質無制限になるプランを選べば、ストレージ容量が不足して追加コストが必要になる心配もない。

建設業での導入事例。ビジネスでも動画ファイルを扱うことが増え、ストレージ使用量の増加ペースが予測しづらくなっているが、Dropboxならば容量が増えても常に一定のコストで利用が可能だ

 そして生産性の大幅な向上、「働き方改革」にもつながる。クラウド経由でどこからでも、どんなデバイス(PCでもスマートフォンでも)からでも安全にアクセスできるため、テレワークがはかどる。社内のチームメンバー、社外の取引先とのファイル共有も、手間をかけず安全に行える。

 福地氏は、Dropboxへの移行によって「DX推進」を考える経営層、「コスト削減」を考えるIT管理者、そして「生産性向上」を考える従業員という全員が、その課題を解決できると説明する。つまり、ファイルサーバーのDropbox移行で“みんながうれしい”わけだ。

 ちなみに、現在はさまざまベンダーからクラウドストレージサービスが提供されているが、「競合しているように見えても、実は位置づけが大きく異なる」と福地氏は説明する。「企業のファイル保管庫」や「個人のUSBメモリ代わり」のような他社サービスとは違って、Dropboxは企業やチームがクラウドストレージを介して共同作業を進めるための「共同ワークスペース」という位置付けだ。

他社のクラウドストレージサービスとは一線を画するDropbox

幅広い業種で活用されるDropbox、導入企業が評価したポイントは?

 実際の導入企業は、Dropboxの導入によってどんなDXを実現し、どこを評価しているのか。福地氏は業界の異なる数社の導入事例を紹介した。

 クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が代表を務めるデザイン事務所のサムライでは、ブランディングや空間デザインといったチーム型の業務をリモート化、効率化するうえで、Dropboxが非常に役立っている。佐藤氏は「Dropboxを導入したことで、ある意味完全なリモートワーク体制が出来た。データ容量のことを気にしないで使える点も非常に大きい」とコメントしている。

デザイン事務所、サムライ(SAMURAI)のDropbox導入事例

 モーターサイクル部品や工作機械、産業用ロボットなどのメーカーであるイハラ製作所では、オンプレミスのファイルサーバーの自社運用負荷に耐えかねてDropboxへの移行を行った。移行の大きな目的は「重要データの消失、欠損リスクをなくす」ことであり、Dropboxが備える「巻き戻し機能(バージョン履歴管理機能)」が役立っているという。誤って破棄/上書きしたファイルやフォルダを簡単に復旧できる巻き戻し機能は、軽微な復旧であれば現場ユーザー自身で5分程度あれば実行できる。そのため、管理者の運用負担も大幅に削減されたという。

機械メーカー、イハラ製作所のDropbox導入事例

ファイルの巻き戻し機能。誤って上書き/削除したファイル、ランサムウェア感染で暗号化されたファイルも元どおりに復旧できる

 そのほかに建設業の亀川組、東急建設の導入事例も紹介した。

 亀川組では、社外からアクセスできないオンプレミスのファイルサーバーからDropboxに移行したことで、PCにファイルをコピーするために現場と本社を行き来する必要がなくなって業務効率が向上し、従業員間の情報共有もスムーズに行われるようになったという。Dropboxに対する一番の評価ポイントは、これまでのファイルサーバーとほぼ変わらない使い勝手による「誰でも使えるシンプルさ」だ。

建設業、亀川組のDropbox導入事例

社外からのアクセスも簡単かつ安全で、現場作業の多い建設業で人気が高い。CADファイルを含む180種類超のファイル形式をブラウザで表示できるのも強みだ

 ゼネコンの東急建設では、合計140TB以上の容量になっていたオンプレミスファイルサーバーをDropboxに移行/統合した。これにより、5年に一度のファイルサーバーリプレースにかかっていた大きなコストを削減した。加えて、工事協力会社や施主、設計事務所など、社外のステークホルダーとも自由な情報連携が実現しているという。

建設業、東急建設のDropbox導入事例

 福地氏はこれらの事例を紹介しながら、Dropboxの特徴的な機能群を紹介した。管理しやすいコンソール、サブフォルダ(第2階層以下のフォルダ)に対する個別のアクセス権限設定、OfficeドキュメントやPDFファイルの全文検索、PCバックアップ機能やスマートシンク機能などだ。

 加えて、近年大きな被害を発生させているランサムウェア対策の機能も備えることを紹介した。Dropboxは、ランサムウェア感染が疑われる挙動を検知して、管理者にアラートを出す。疑いのあるファイルまで自動でリストアップしてくれるので、管理者はそれを確認したうえで、ウィザードの指示に従ってファイル/フォルダを復元していく。前述したとおり、Dropboxではファイルのバージョン履歴を管理しており「巻き戻し」ができるので、たとえランサムウェアがファイルを暗号化/破壊したとしても、それ以前の状態に復元できるわけだ。

 

Dropboxはランサムウェア検知機能や、ファイル復元のウィザード機能などを提供している

 なおDropboxでは、クラウドストレージサービス以外にも複数のビジネス向けサービス/ツールを提供している。電子署名の「Dropbox Sign(旧称:HelloSign)」、プレゼン動画の作成ツール「Dropbox Capture」、映像制作のプロ向けの動画共有/確認ツール「Dropbox Replay」、共有したドキュメントへの反応を分析できる「Dropbox DocSend」などだ。

 これらに加えて、現在はAIを活用した新機能の組み込みにも注力し始めている。すでにベータ版提供を開始しているユニバーサル検索ツール「Dropbox Dash」のほか、将来的にはDropboxに保存されたドキュメントの内容を要約したり、質問に答えたりするAI機能も追加予定だという。こうした機能はオンプレミスのファイルサーバーでは実現不可能であり、Dropboxへの移行すべき理由がまた1つ増えることになる。

* * *

 セッションの最後に福地氏は、Dropboxへの具体的なファイル移行方法については、Dropbox NAVIにベストプラクティス記事が掲載されているので参考にしてほしいと語った(以下参照)。

 ●データ移行ベストプラクティス(Dropbox NAVI)

 なお、ソニービズネットワークスが提供するICTソリューションサービス「NURO Biz(ニューロ・ビズ)」では、Windows Server 2012からのDropboxへの乗り換えに対して、Dropboxの利用料金を「2カ月分無料」にするキャンペーンを実施している(2023年9月15日まで)。福地氏は「社内にWindows Server 2012がある場合は、この機会にぜひお問い合わせいただければ」と呼びかけた。

 ●Dropbox Windows Server 2012 EOSキャンペーン(ソニービズネットワークス)

 また、Dropboxの新規導入/移行に不安のある企業向けには、SB C&Sが「Dropbox Business Smartパック for Online」を販売している。これはDropboxの初期導入を支援するもので、管理項目のレクチャーや初期設定支援などの管理者向けトレーニング、アカウント作成から基本的な使い方までを教えるエンドユーザー向けトレーニング、そしてDropboxの初期設定を代行するシンプル設定の各サービスがパッケージされている。

(提供:Dropbox)

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