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テクノロジーからサステナビリティ推しへ 変化するViva Technology

「Viva Technology 2023」レポート

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SDGsがより大きくフォーカスされる

 ロボットやモビリティの展示は今年ももちろん見られたが、今年のViva Technologyでより目立っていたのが、社会の持続性に配慮した製品やサービス、サステナビリティに関するものだ。

「Neoplants」は通常の観葉植物の30倍室内の空気をキレイにしてくれるというバイオ観葉植物。通常の観葉植物では、室内の空気を清浄化するには大量の植物が必要となり、水やりやメンテナンスのための労力やコストがかなりかかってしまう。また空気清浄機を使う場合は電力消費を伴うため地球に優しくない上、かえって空気を汚染してしまうものもあるという。「Neoplants」は遺伝子組み換えにより、空気中の汚染物質を浄化する効率を大幅に高めているほか、鉢の位置を空気が通りやすい形状や高さにすることで清浄効果を高めている。現在、179ドルで予約販売中となっている。

中央にあるのが「Neoplants」。来場者に製品の説明をしている写真左の人物が、Neoplants創業者のLionel Mora氏

「Urban Cusine」は地産地消がさらに進んだ、調理をするキッチンで野菜を育てるという製品。オープンに入るサイズの家庭菜園デバイスだ。17種類のフランス産野菜、フルール、ハーブなどから育てていたものを選んで注文するとキットが届けられ、アプリで生育のためのアドバイスや通知を受け取ることができる。1カ月で最大3キロ、一年で最大30キロ収穫することができ、価格は499ユーロとなっている。

野菜を調理するキッチンで、野菜を育てるための製品「Urban Cusine」

 NOTPLAは海藻を原料につくられたグルコースで食品用のパッケージを提供している。食品のケータリング用のパッケージや、オリーブオイルを入れるための透明パッケージという形で提供されており、透明なゼラチンのような柔らかい袋はそのまま食べてしまうことができる。後にゴミを残さないため、非常に地球環境に優しい製品となっている。去年の女子サッカーEURO決勝戦では、このNOTPLA製の容器で、会場内で販売される飲食物が提供された。

NOTPLAでつくられた製品。右下のオリーブが入った透明容器は手でひねって開けて、そのまま容器ごと食べることもできてしまう

水を生み出すための製品

 日本は世界有数の水が豊富な地域だが、世界の多くの場所では、水不足が深刻な問題となっている。また真水を生成し、消費できるように家庭や施設に提供するためには多くのリソースが使われている。

「Agua de sol」は大気中の水分を自然エネルギー、太陽光の熱だけで取り出すという製品。屋根などの上に設置し、夜間に水蒸気を含んだ空気が多くの穴が空いた金属管の中に入っていく。日中になると、この製品の中に入った空気が温められることで水蒸気が出て、それが結露して、水として取り出すことができる。畳1畳ほどの大きさの製品で一日1.5リットルほどの水を得ることができ、価格は約400ユーロとなっている。

Agua de solのCEO Luc Metivier氏

「HELIO WATER」は海水を真水に変えるための装置。半透明のドームに、太陽熱で気化した水滴が付き、それが冷えることで真水として出てくる。ドーム内は太陽熱で高温となるため、雑菌なども殺菌される。

プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏のブースに出展されていたHELIO WATER

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