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乗るか、待つか AI、Web3のいまをスタートアップ業界目線で読む「B Dash Camp 2023春」開幕

「B Dash Camp 2023 Spring in Sapporo」オープニングレポート

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 2023年5月24日、北海道札幌市でスタートアップ業界最大級のカンファレンスイベント「B Dash Camp 2023 Spring in Sapporo」が開幕した。3日間にわたり業界の最前線で活躍する経営者や著名人がトークセッションを行う。スタートアップの登竜門「Pitch Arena」やWeb3領域に特化した「Crypto Arena」、開催地の札幌市とコラボした「Sapporo Pitch」なども見どころだ。

 今回の共通テーマは「RIDE or WAIT」。新型コロナウイルスによる自粛や規制が解除され、経済活動が再開しつつある一方で、世界的な金融マーケットの変化に伴い資金調達環境の縮小といった陰りも見られる。加えて、AI技術の急速な拡大など、ビジネス環境にはさまざまな波が押し寄せているといえる。

「RIDE or WAIT」は新たなビジネス、テクノロジーの潮流をチャンスとするのか、試練とするのか、これから向かうべき方向性を明らかにしていくメッセージだ。

 開幕にあたり、B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏は「2022年10月に開催された前回は、Web3の波が到来したと話していたが、今回は生成系AIの波が押し寄せてきている。ネガティブな話題でいえば、株式市場や資金調達の厳しさもあるので、セッションで議論していきたい」と語った。

B Dash Ventures 代表取締役社長 渡辺 洋行氏

生成系AIにRIDE、Web3は長期目線で資本主義にゲームチェンジを起こす可能性あり

(左から)B Dash Ventures代表取締役社長 渡辺 洋行氏、Thirdverse/Mint Town/フィナンシェ代表取締役CEO 國光 宏尚氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役 グループ社長執行役員 佐藤 光紀氏、ヤフー取締役 専務執行役員 コーポレートグループ長 宮澤 弦氏、クラウドワークス代表取締役社長 兼 CEO 吉田 浩一郎氏

 2日目のオープニングセッション「ネット企業の成長はどこに向かうのか」では、生成系AIの潮流にライドしつつ、Web3にも長期的なトレンドとして注目していく方向性が示された。

 直近のスタートアップ業界は、資金調達環境の悪化やIPOの小型化が進行している。資金調達額は増加しているものの、件数は減少していることから、投資家が慎重姿勢を示しているといえる。また、TOPIX指数とグロース指数が連動していないことから、グローバルの投資家が日本の新興市場に期待値を抱いていないこともうかがえる状況だ。

 スタートアップ業界に後ろ向きな兆しが見えるなか、渡辺氏は「生成系AIはスタートアップが台頭する起爆剤になり得る。Web3も数年後の波に期待できる状況は継続している」と語った。

 実際、生成系AIが株価に影響する事例が増加していることから、AIに対する投資家の注目度が高いことがわかる。また、アメリカ西海岸のスタートアップ環境はWeb3からAI一色といえるまで、変化しているという。

 ヤフーの宮澤氏は「インターネットやiPhoneが出てきたときと同じワクワク感が生成系AIの領域にも感じられる。ヤフーの今があるのは、そうした波を早く捉えたからだ。明らかなパラダイムシフトが起きており、全員が取り組むべき。一方で、巨大企業がAIの開発、運用に桁違いの資金を投下していることも忘れてはいけない」と述べた。

 クラウドワークスの吉田氏は「人がAIにどれだけ置き換えられるのか、クオリティの担保を誰がやるのかに注視している。プロンプトエンジニアリングという新たな仕事が生まれた一方、既存エンジニアの需要が鈍化傾向にあることも気になっている」と述べた。

 以下、パネルディスカッションの模様をお届けする。

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