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富士ゼロックスで培った0→1の価値創造、特許戦略のノウハウを実践で社会に還元する

大企業スピンアウトからブレインテック/ニューロテックを牽引するユニコーンを目指すCyberneX

連載
研究開発型イノベーション創出のケーススタディ

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スタートアップ仲間、支援者とのつながりを力に資金調達や人材獲得を実現

 CyberneXは、2020年度と2021年度の経済産業省の大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金(出向起業等創出支援事業)に採択されている。同事業への応募の目的やその後の資金調達について伺った。

 「出向起業等創出支援事業は、当時経済産業省で同事業を推進していた奥山恵太氏の大企業からの起業に支援したい、という思いに共感したのが応募のきっかけです。起業時にかかるお金を補助していただけるとともに、同じようなスピンアウト、カーブアウトの仲間たちとつながることができたのが大きかったです。仲間がいることで、大海原に出ていく怖さを軽減してくれる勇気を与えてもらえました」

 上述の奥山氏はスピンアウトをさらに後押しするため、経済産業省を退職して2022年9月に出向起業スピンアウトキャピタルを設立している。大企業の社員は、起業家の知り合いが少なく、起業に対する不安感が強い。大企業からのスタートアップを増やすには、資金面だけでなく、ネットワーキングの支援も大切だ。

出向起業等創出支援事業
https://co-hr-innovation.jp/

 その後、政策金融公庫の創業融資を受け、2021年9月には横河電機株式会社からの資金調達を実施。2022年からはVC2社からも資金を調達している。

 「事業会社とVCの両方をバランスよく活用しています。事業会社側は長期的な視点で研究開発を重視しますが、VCから出資を受けると、きちんと利益を還元しないといけない。企業の成長には両面を鍛えていくことが大事なので、出資を受けながら学ばせてもらっています」

 社員も創業時の2人から12人へと順調に増えている。資金調達、人材の確保も当初予想してたほどには苦労しなかったそうだ。

 「人には恵まれていますね。スタートアップコミュニティとつながり、影響を受けることが非常に重要だと感じます。出資関係のないVCの方々からも応援していただいて、すごく助けられています。そういう関係性はスタートアップの良さですね。VCとの壁打ちよりも、人と人の信用でつながった出資や出会いのほうが親和性があり、うまくいくように思います。人とのつながりで話を聞いてくれた方がファンになり、不確定なものに投資してくれる。創業時は不確定要素が高いので、賭けてくれるのは人の信用の部分。結局は人とのつながりに帰着する気がします」

 ネットワークを広げるため、ASAC、Well-being X、Plug and Play Japan、イノベーションリーダーズサミット、ICCパートナーズなどの外部プログラムにも積極的に参加している。採択されることで、スタートアップや大手企業、投資家、支援者など多彩な人脈につながり、メディアへの露出も増える。プログラムで知り合った企業との商談に進むケースもあるそうだ。

 大手発のスピンアウトとして創業から2年、さまざまな経験を重ねたいま、大企業発のチャレンジをしたい人に向けてメッセージを聞いた。

 「いかに人と違うことをやるか。違う考え方に立つか。みんなの常識を逸脱したことをやっていると批判もたくさん受けます。さんざん非難されて、嫌な思いもたくさんする。それでも自分がやりたい、勝てると本気で思い、貫けるかどうか。本当にイノベーションを起こしたいなら、そういう道を通らないといけない。応援してくれる人は、その覚悟に賭けてくれているように思います。張ってくれた方たちのためにも自分たちはやりきり、成果を出して恩返しをする、という強い関係性を築いていきたいですね」

 CyberneXでは、脳情報の日常活用を広げるため、脳情報を活用した商品やサービスの開発を支援する「脳情報活用支援サービス」のパートナー企業を募集している。さまざまな企業にデータの取得、解釈、活用までをサポートする「Works with XHOLOS」パートナーシッププログラムとして提供し、継続的に脳データを収集することで活用のユースケースを増やし、ブレインテックを盛り上げていく計画だ。

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