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クラウドサーバーとは? 共用・VPSとのメリットデメリット比較まとめ

文●西山一郎

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※本記事はカゴヤ・ジャパンが提供する「カゴヤのサーバー研究室」に掲載された「クラウドサーバーとは?共用・VPSとのメリットデメリット比較まとめ」を再編集したものです。

 クラウドサーバーとは、文字通りクラウド環境に作られたサーバーのことです。インターネットのネットワークでの利用を前提とした、クラウドコンピューティングという用語の方が、身近かもしれません。

 いずれにせよ、クラウドとは雲(cloud)を指していますが、まさに雲をつかむような話で、漠然としています。その点を考慮して、今回はクラウドサーバーについて明らかにします。特に、共用サーバーやVPS(仮想サーバの一種)との機能比較や、メリットとデメリットを、初心者の方にも分かりやすく解説します。

クラウドサーバーとは

 直訳すると雲の中のサーバーですが、もちろん実際には専門の会社が管理している物理サーバーが存在しています。これらの機器をインターネット経由で利用できる仕組みです。そこでは、全て自前で揃えるコスト(費用・手間ひま)削減と、セキュリティ技術の進展があります。

 さて、それらのサーバーで提供しているサービスには、3種類あります。これらの種類を理解すると、クラウドサーバーの全体像を容易に把握することができます。

│クラウドサービスの種類

 3種類に分類され、それぞれが英語の頭文字4文字をとっています。内容がわかれば、すぐに理解できるでしょう。なぜなら、技術自体は新しいものではないからです。

 世の中にある膨大なクラウドサービスを、大まかに分類することで、サービスを選びやすくなります。ポイントは、利用者がサービスを使うときの自由度にあると考えています。

★SaaS(Software as a Service、サース)

 インターネット経由で、ソフトウェア(アプリケーションまたはアプリ)を提供するサービスを指しています。これまで、パソコンにソフトウェアを都度インストールする必要がありましたが、SaaSを利用することで不要になりました。正しいIDとパスワードでログインすれば、インターネット上のどこからでも、どの端末からでも利用することができるようになっています。

 代表的なサービスはGoogle Workspaceですが、各分野のASP(アプリケーションサービスプロバイダ)が該当します。代表的なASPのサービスには、経理業務やグループウェアなどがあります。なお、データを保存し共有する機能のあるDropboxなども、SaaSに分類される場合もあります。

★PaaS(Platform as a Service、パース)

 インターネット経由で、アプリケーションの開発をするプラットフォーム(動かすための基盤)を提供するサービスです。PaaSでは、利用者がアプリケーションを導入して、運用が可能です。一般的には、あまり馴染みのないサービスかもしれません。

 代表的なサービスは、Google CloudやMicrosoft Azureの一部です。従来のくくりで言えば、レンタルサーバー業者の提供する、マネージド専用サーバーやマネージドクラウドなどのサービスも含まれています。

★IaaS(Infrastructure as a Service、イアース)

 インターネット経由で、ハードウェアや回線などのインフラを提供するサービスです。利用者がOSとともに、ハードウェアの性能を自由に選択することができるようになっています。従来のくくりで言えば、レンタルサーバー業者が提供する、クラウドサーバー(クラウドサービス)が該当します。

クラウドサーバーと共用サーバー・VPSの違い

 ここまで、最近流行りのクラウドサービスの種類について、おわかりになりましたでしょうか。では次に、クラウドサーバー自体に焦点をあてて、整理をします。まずは共用サーバーやVPSとの違いから明らかにしたいと思います。

 傾向としては、用途別および予算別に使い分けができることが、肝心です。そのポイントは、以下の通りです。

・高い専門性のある用途かどうか
・高い需要(アクセス)の有無
・アクセスが突発的に増える可能性があるかどうか

クラウドサーバーのメリットとデメリット

 最新式のクラウドサーバー形式のサービスにも、用途や利用状況により、メリットとデメリットがあります。今回は、VPSサーバーや共用サーバーと比較した場合のポイントをまとめました。

│メリット

・アクセス状況とコスト面での柔軟性有(期間限定での使用の対応が容易)
・必要なサービスのみ選択でき、セキュリティ面で優位
・比較的早くサービスを立ち上げることができる

│デメリット

・継続的に利用するには、コストが割高となりがち
・多くのオプションがあり、初心者には難解
・専門家がいない中小規模の組織では、自力で使いこなすのが困難

利用シーンとイメージ

 前項にあるように、クラウドサーバーにはメリットとデメリットが混在しているにもかかわらず、利用が拡大し、注目されているサービスです。最後に、どのような場面で使われているか、例を挙げてみましょう。

│(利用シーン1)クラウド型ソフトウェア開発から運用、終了まで

 従来では、まずは手元に高性能のパソコンを用意し、開発環境を一から用意してからでないと、開発そのものに着手することができませんでした。そして、やっと開発環境が整い、目的のソフトウェア開発を始めたとしても、想定外の事態には対応ができませんでした。例えば、負荷増大による開発環境の増強は、急には無理でした。また、開発が無事に終了した場合には、その環境は不要となりました。

 クラウド型に移行することにより、上記の問題は一挙に解決されます。必要なサービスに絞り、すぐに開発を開始できます。そして必要に応じて、都度サーバーなどの性能を上げることもできます。また開発終了ともに、サービスの利用を終了することができます。固定資産は残りません。よって、無駄な投資を極力抑えることができるようになります。

│(利用シーン2)セールでスパイクアクセスがあるECサイト

 突発的で、急激なアクセスの上昇(スパイクアクセス)があると、サーバーというハードウェアや、回線というネットワークが、一時的に麻痺します。マスコミ、有名サイト、SNS(ソーシャル・ ネットワーキング・サービス)などで評判になると、突如としてサイトへのアクセスが集中するためです。場合によっては、公開自体が停止します。

 ここでは、ECサイト運営用に、低い性能でのサーバー利用を仮定しています。スパイクアクセスにより、データベースに高い負荷が加わり、商品購入のための処理が止まってしまうこともあります。それは、前述のサーバーや回線に加えて、ECサイトのシステムでは、データベースを快適に動かすことが必要だからです。この不具合の解消のために、クラウドサーバーが活躍します。

 わかりやすい例では、人気の高いアーティストのチケットの申し込みを、Webサイト上で行うケースです。特定の日時のみに、極度に集中するアクセスの処理を、このサービスが担っています。

まとめ

 ここまでいかがでしたでしょうか?クラウドサーバーについて、概略をご理解いただけましたでしょうか。やや難しい内容で、最初から導入は難しいと感じたかもしれません。ただ、いざというときに、たいへん心強い味方になるサービスであることも、同時に気づかれたのではないでしょうか。

 ビジネスの成長にあわせて、アクセス環境でもコストの面でも、柔軟に活用できるサービスでもあります。そこでビジネスの状況にあわせて、クラウドサーバーの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

(提供:カゴヤ・ジャパン)

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