Ryzen 7000シリーズに600シリーズチップセット発表!AMD基調講演を振り返る
2022年05月23日 20時00分更新
Ryzen 7000シリーズに対応する600シリーズチップセット
Ryzen 7000シリーズに対応するチップセット「X670E」「X670」「B650」も合わせて正式に発表された。X670EとX670はどちらもエンスージアストやオーバークロッカー向けのチップセットだが、X670はCPU直結のM.2スロットとグラフィックボード用x16スロットのみがPCI Express Gen5対応なのに対し、X670Eは全PCI Express/M.2スロットがPCI Express Gen5となる。
PCI Express Gen5の使用はB650でも可能なので、今期のチップセット選びはオーバークロックをするならX670より上を、しないのであればB650、という判断で良さそうだ。
各マザーメーカーから新Ryzen用マザーが投入が予告されているが、製品写真を見る限り基本的にチップセットファンは搭載されないようだ。
そして地味に、そして非常に重要な点として、Socket AM5のクーラーはSocket AM4と互換性があることが確認された。もちろんTDPによっては“冷やしきれない”ケースは考えられるが、少なくとも物理形状の違いで取り付けられないことは「原則的に」ないということだ。Wraith PrismのようにCPUソケット両側のツメにひっかけるタイプのクーラーも装着できるように、Socket AM5マザーには従来式のリテンションパーツも装備されているのだ。
モバイル向けRyzen 6000シリーズにも新たな動き
モバイル向けのRyzen 6000シリーズにも新たな動きがあったので、簡単にまとめておきたい。Ryzen 7 6800U等を搭載した中〜重量級ゲーミングノートが市場に出回りはじめたが、今回AMDはRyzen 6000シリーズの超薄型モデルや、ビジネス向けRyzen搭載ノートに言及した。
この内容については特に目新しい要素はないのだが、さらに追加の新モデルとして、今年投入される予定の「普段使いのノート」に相応しい低価格APUの存在だ。コア数は4C8Tと決して多くはないが399〜699ドルという低価格帯のWidnowsもしくはChromeOS搭載ノートPCに搭載されることを見込んだ新APUを出すという。
この新APUで面白いのは、GPUはRDNA 2ベースだがCPUはZen 2であり、さらに6nmプロセスであるという点だ。さらに面白いのはこのAPUの開発コードが「Mendocino」と名付けられている点。古参の自作erならご存じだろうが、Mendocinoといえばあの時代最強の人気を誇った「Celeron 300A」と同じ開発コードだ。意図的か否かは不明だが、かのCPUの如くコストパフォーマンスに優れた製品であることを祈りたい。
RTX I/Oに対抗するための「Smart Access Storage」
AMDは同社製CPU/GPUを搭載したノートの設計ガイドラインとして「AMD ADVANTAGE」というものを用意しているが、その中の強みとしてCPU〜チップセット〜GPUまで全て握っているからこそできる繊細な制御があると謳っている。
その一つがCPUからGPUのVRAMへスムースなアクセスを可能にする「Smart Access Memory(いわゆるResizable BAR)」だったり、CPUとGPUがパワーを適切に融通し合うことでトータルの性能を高める「SmartShift」だったりするわけだが、今回は新たに「Smart Access Storage」という技術が追加された。
ゲームのデータをCPUで展開してからVRAMに送り込むのではなく、GPUがロードしてGPU上で展開することで、より短時間で済むようになるというもの。
どこかで聞いたことのある技術だが、これはNVIDIAがRTX 30シリーズのローンチ時に明らかにした「RTX I/O」そのものだ(解説記事)。RTX I/Oは実のところDirectStorage for WindowsをGeForceに最適化したものであるのと同じように、Smart Access StorageはDirectStorage For WindowsをRyzen+Radeonに最適化させたものと考えることができる。
Smart Access Storageの効果を感じられるようになるにはまだ時間がかかる(ゲームエンジンへ組み込まれ、それを利用したゲームが一般的になるには相当の時間がかかる)が、将来が楽しみな技術だ。
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