最新パーツ性能チェック 第287回
クリエイティブ系ソフトで「Ryzen Threadripper 3990X」の64コア/128スレッドをフルに使えるか検証
2020年03月18日 11時00分更新
CG系でも対応しなければ128スレッドをフル活用できない
ここまでの検証を見るかぎり、CG系はプロセッサーグループの壁に関係なく、論理コア数ギリギリまでCPUを使ってくれるように見えるが、それはこれまで試したアプリがプロセッサーグループの壁を越えられるように対策済みだからである。CG系アプリでプロセッサーグループの壁を越えられないアプリの一例として「POV-Ray v3.7」を試してみよう。このアプリに関してはAMDがレビュアー向けに128スレッドをフル活用できるバージョンを提供している。グラフ中「128thread」とあるのがその特別版を使った時の結果だ。
CGのレンダリング処理はマルチスレッド化しやすいためRyzen ThreadripperのようなメニーコアCPUの恩恵を受けやすい処理だが、プロセッサーグループの壁を越えられないと性能が出し切れないことが分かる。POV-Rayは現在バージョン3.8.0が開発中だが、その3.8.0のβ版でも64スレッド制限は存在する。CG系でスピードアップを図る際は、そのアプリがプロセッサーグループの壁を越えられるかどうか確認してからRyzen Threadripper 3990Xを導入すべきだろう。
ちょっと寄り道をして、ここで「PCMark10」を使ってPCの総合性能を見てみよう。テストは「Standard」テストを用いる。
CPUの並列度はPCMark10のスコアーアップにあまり寄与しない。基本はコア数よりもクロックが高い方がスコアーアップに効くのだが、今回の検証ではPBO有効時のスコアーの方が定格時よりも若干低い。PBOで一瞬クロックが上がるものの、その反動でクロックが早い段階で落ちてしまい、総合的にはあまり力を出せないためと推測できる。
注目したいのはCGレンダリング作業を伴うDigital Contents Creation(DCC)テストグループだが、このテストグループでは上で解説したPOV-Rayが実際に使われる。プロセッサーグループの壁を越えることができないPOV-Rayを使った結果、Ryzen Threadripper 3990XはDCCテストグループでもスコアーを伸ばせなかった、ということだ。
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