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石炭火力推しのトランプ政権、段階的廃止を加速させる欧州

2017年04月21日 07時42分更新

文●Jamie Condliffe

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化石燃料を巡る政策は、大西洋の両岸で対称的だ。石炭火力発電を何としても増やしたいトランプ政権は送電容量にまでケチを付け始めたが、市場では石炭より安価な天然ガスを使うLNG発電が人気だ。

化石燃料に関する米国と欧州の政策はますますかけ離れていく。あらゆる手を尽くして石炭産業を守り、 発電用に石炭を燃やし続けるべく結集するトランプ政権をよそに、大西洋の向こう側では、最悪の環境汚染源である石炭火力発電所が、かつてないペースで閉鎖されている。

つい先週、リック・ペリー米国エネルギー省長官は、60日以内に米国電力市場に関する調査報告を実施するよう命じた。 ペリー長官が主張する懸念は、大まかにいうとこういうことだ。再生可能エネルギーの導入と、ベースロード電源を供給する発電所(特に化石燃料を使う発電所)の閉鎖により、電力供給網が弱体化するのではないか。以下は、ペリー長官の覚書の一部だ。

ベースロード電源の廃止とその埋め合わせ方法について、多くの米国民からが疑問が寄せられています。しかし、米国ではさまざまな方法を組み合わせて電力を安定供給する手法が停滞しており、ベースロード電源の供給量と送電網の許容量の関係に、どういった影響を与えるのかを重視するべきとの意見もあります。この状況の一因は、前政権が石炭火力発電を縮小するために設けた規制による負担のせいでもあります。こうした政策は米国民の仕事と経済成長の機会を奪い、将来にわたる送電網の能力を脅かしましたのです。

送電網の許容量が実際に危機に瀕しているかは定かではないが、調査報告はドナルド・トランプ大統領が最近署名した大統領令とぴったり一致する。大統領令は、オバマ政権による気候変動対策構想の多くを後退させようとしており、特に政府関係機関に対し、電力供給の「負担」とみなされる政策の撤回を求めた。遠回しな表現だが、その意味は、実質的な「クリーン・パワー・プラン」をはじめ、石炭火力発電を邪魔するあらゆる規制の廃止だ。

一方、欧州の動向は米国とはかなり違っている。ブルームバーグの報道 によると、欧州各地の大手電力会社は、発電所の閉鎖や、石炭火力からの発電方式転換作業をかつてないペースで進めている。2016年には、発電量換算で10ギガワット分の石炭火力発電所が閉鎖された。国際エネルギー機関による予測では、2014年には177ギガワットだった石炭火力による発電量は、2030年には114ギガワットまで減少するだろう。

石炭火力発電所の新設件数が、閉鎖や方式転換の件数を大きく上回ることはないだろう。石炭火力発電が新設されるペースが低下していることが、最近の研究で示されている。むしろ、発電量の不足分の一部は天然ガスにとって代わられ、 再生可能エネルギー産業が活況を呈している。そして、少なくとも今のところ、送電網は何の問題もなく、順調に稼働しているようだ。

(関連記事:Bloomberg, “トランプ政権、気候変動対策の主導国を中国に譲渡,” “太陽光発電の新設発電容量、米国で2016年にほぼ倍増,” “Coal Power Has Taken a Tumble, But Is It the Beginning of the End?”)


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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