モジュラーシンセじゃわからないから登場したMinifoogerシリーズ
今回のMinifoogerより先に「MoogerFooger(モーガーフォーガー)」というエフェクターシリーズも発売されていますが、これはもうアナログシンセのモジュールを取り出したような仕様で、各モジュールはCV(制御信号)の連携に対応するという、エフェクターというよりバラ売りのモジュラーシンセです。
ところがギタリストというのは私も含めて頭の構造が単純なので、モジュラーシンセを差し出されて、さあ使えと言われてもよくわからない。だってエフェクターの形してないし。しかもちょっとお高いし、大きいし。
すっかり前置きが長くなりました。そこで生まれたのがMinifoogerシリーズというわけでしょう。
全機種で共通した特徴は「100%アナログ」な回路構成のほかに、エフェクトオフ時の信号劣化を防ぐため、内蔵バッファーを通さない「トゥルー・バイパス」仕様で、電源は「DC9V」対応。006P電池かDC電源で動きます。筐体はアルミキャストで、大きさは幅83×奥行き144×高さ58mm、重さは500g。
面白いのは全機種エクスプレッションペダル用の入力をもっており、特定のパラメーターを足で連続可変できるようになっています。ギタリストにCVとか言ってもわからんので足を使わせよう、ということでしょう。
では、早速試してみましょう。
レトロでスペーシーな音のMF Trem
まずはトレモロ効果を生む「MF Trem」です。ひとまずどういう音かを聴いていただきましょう。最初にエフェクターオフで弾いたフレーズ、次にエフェクターオンで弾いたフレーズです。どうぞ。
トロロローンという、ちょっとレトロでスペーシーな感じの音になったと思います。これは音量を小刻みに変化させているわけですが、シンセ的に言うならVCAにLFOで変調をかけているわけです。
MF Tremはこの音量を変化させる際の音量カーブ、すなわち変調をかける波形を「SHAPE」というツマミで、連続的に変えることができます。これがほかのトレモロにない効果を生むので面白いです。
SHAPEを真ん中にすると波形は三角波(あるいはそれに近い正弦波)になり、音量はスムースに変化します。左に回しきると左下がりのノコギリ波で、音量は急に上がって徐々に下がるパターン。右に回しきると右上がりのノコギリ波で、今度は徐々に音量が上がって急に下がるパターン。
次のサンプル音源の波形を見ると、その音量変化が視覚的にわかるかもしれません。最初に弾いたものが左に回しきった状態、2番目が右に回し切った状態です。最後は振幅のスピードに合わせてステレオのピンポンディレイを掛け、よりスペーシーな感じにしてみました。