米フェイスブックが現地時間4日に発表したのはAndroidホームアプリの「Facebook Home」だったが、事前にはフェイスブック版のスマホ端末「Facebook Phone」が発表されるのではないかという憶測が飛び交っていた。スマホ端末の発表を期待していたユーザーの間には「がっかり感」が広がっているかもしれないが、しかし、フェイスブックがAndroid向けにホームアプリをリリースする意味は大きい。
まず考えられるのは、スマホのホーム画面がフェイスブックになることで、フェイスブックユーザーのフェイスブック利用度が拡大すると見込まれる点だ。スマホを起動すると「Facebook Home」が表示され、フェイスブックでつながる友人の動きを即座にチェック可能。「いいね!」やチャット等のやりとりも容易に行える。フェイスブック以外のアプリを操作している間にチャットを続けられる機能も備えるなど、ユーザーがスマホを手にしている間はフェイスブック中心の時間がすぎることになる。
こうした常に人とつながる点に魅力を感じ、フェイスブックユーザーが拡大することも予想される。「既存ユーザーの利用度の増大」と「新規ユーザーの拡大」は、顧客とのコミュニケーションを求める企業にとっても大きな魅力となるはず。フェイスブックユーザーとのコミュニケーションの機会を増やし、つながりの密度を濃くしようという目的で、フェイスブック公式アカウントを持つ企業が増えることも十分に考えられる。
さらに注目されるのは、ホーム画面をフェイスブック化することで「Facebookスマホ」に変身させてしまった点。スマホのホーム画面はOSに依存しているが、今回の1件で、スマホのホーム画面をアプリ重視に進化できることが広く一般に認知された。すると今後は「mixiスマホ化」や「Twitterスマホ化」といったケースが出てこないとも限らない。アプリの提供側にしてみても、ビジネスを拡大させるチャンスが広がったことを意味するのだ。