重低音の出力にこだわったヘッドフォンとして、2008年11月にソニーから発売されたのが「エクストラベース MDR-XB」シリーズだ。
分厚い低音が楽しめるだけでなく、「キングサイズイヤークッション」と名付けられた極太のイヤーパッドを装備するなど、ユニークなヘッドフォンとして話題を集めた。
このシリーズの新製品として「MDR-XB1000」が2月3日に発売された(関連記事)。“クラブのミュージックをヘッドフォンで再現する”というコンセプトの製品で、実売価格は2万5000円前後だ。
空気を震わせる重低音を体感!「MDR-XB1000」
同シリーズのフラグシップモデルという位置付けで、同社が世界最大と称する70mmのドライバーユニットを搭載している。MDR-XBシリーズの象徴とも言える肉厚のイヤーパッドも健在だ。
さらに再生周波数帯域が拡げられており、従来モデルである「MDR-XB700」の3Hz~28kHzを上回る、2Hz~30kHzを実現している。
このMDR-XB1000において重低音再生を実現している要素のひとつが、既存モデルから引き続き採用されている「ダイレクトバイブストラクチャー」と呼ばれる技術だ。ドライバーユニットと鼓膜までの空間の気密を高めることで、重低音域をダイレクトに伝達するというもの。
ここで一役買っているのがキングサイズイヤークッションで、厚みのあるクッションが耳の周囲に外部と隔離された空間を作り出す役目を担っている。
このMDR-XB1000から出力される低音はとにかく強烈。ズシッと沈み込むような低音が周囲の空気を巻き込みながら響いているイメージで、バスドラムやベースの音の力強い響きを体験できる。
特に周囲の空気が揺れているような感覚は、ほかのヘッドフォンではなかなか味わえないだろう。音のレスポンスもよく、動きの速いベースラインも個々の音がしっかり再現されている。低音に固さはなく、ウッドベースの低音域の柔らかい音の表現も丁寧だ。
このように低音重視のヘッドフォンだが、中高音域もしっかり鳴っており、ただ低音だけがブリブリ響いているというわけではない。たとえば“相対性理論”のような女性ボーカルの楽曲を聴いても、ベースの音に埋もれることなくボーカルの“やくしまるえつこ”の声が気持ちよく響く。
分解能も高く、ビッグバンド系のジャズなど、音数の多い楽曲も気持ちよく聴ける。さすがにオーケストラの交響曲、あるいはピアノソナタなどでは低音の強さが気になってしまうが、思ったよりも音楽のジャンルを選ばずに使えるという印象である。
こうした特徴的なサウンドに加え、付け心地のよさもMDR-XBシリーズの大きな魅力で、MDR-XB1000にも当然引き継がれている。分厚いクッションのおかげで圧迫感をそれほど感じず、長時間の利用にも耐えられる。
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