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商品を紹介するキャッチコピーのつくり方(6)――編集の方程式2・情報を具体的に入れこむ

2008年05月01日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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何のためのキャッチコピーなのか?!

 商品にキャッチコピーをつける目的はただひとつ、「商品を売るため」ですね。キャッチコピーを書くときには、この目的からズレないように、商品を売るためにはどう書けばいいか、どう表現すれば注目してもらえるのか、ということに集中して考えましょう。
 間違っても、格好をつけたり、抽象的な表現で気をひこうとしてはいけません。読み飛ばされるだけです。
 イメージを訴える戦略で成功するのはプロの技です。広告制作の素人が見た目や雰囲気優先のイメージ広告をつくろうとしてもたいていは失敗します。

商品の特徴を、わかりやすいことばで具体的に書く

 これまでに何度も、「売れている雑誌を教材にして、文章や写真、デザインを勉強しよう」といい続けてきましたが、その作業を続けた人なら気付くことがあるはずです。
 売れている雑誌ほど、キャッチコピーや商品紹介の文章はわかりやすいことば、平易な文体で書かれているということに!
 そして、キャッチコピーには商品の具体的な特徴、情報がつまっているということ。
 さらに、ボディコピーや文章を読めば、その商品を使用した状態がイメージしやすいということ。
 最後に、商品の料金、サイズ、カラーなど、詳細がわかりやすく書かれていること。

 そう、一読するだけで、自分がその商品を使っている様子を疑似体験できる誌面が展開されているのです。
 売れるWebサイトとは、これが完成されています。消費者は、Webサイト上での疑似体験が心地よいものかどうか、自分の生活にメリットがあるかどうかを瞬時に判断し、購入するかどうかを決定します。

 第12回の後半にも書いたように、少し前から一部の女性誌に踊る略語(安かわ=安い+かわいいなど)のキャッチコピーの流行はしばらく続くでしょう。が、これもよく読めばあることに気が付きます。面白ことばをつかってはいますが、常に具体的な情報がちりばめられているのです。
 造語で読者の目をひきつける+情報を伝える。たとえば、最近見つけた女性誌にあった「大人かわいい30代の鎖骨見せニット」というコピー。これには、「大人」だけど「かわいい」系ファッション好みの「30代」の女性が「鎖骨」をきれいに「見せ」る「ニット」の特集、を表現しています。ややキーワードが多いとは思いますが、具体的な情報を盛り込んでリズム感で一気に読ませています。

 この特集では、リード文や本文では誰にでもわかることばでさらに具体的な情報をつめこんで、「鎖骨見せニット」の説明がなされていました。
 売れている女性誌の読者は定期購読者が多く、読者としても消費者としても目が肥えています。そんな読者に毎号、興味をもって読んでもらうには、良質な情報を上質な方法で紹介し続ける努力が必要なのです。

 以下のキャッチコピーは、英会話教室のチラシから抜粋しました。どのコピーがよいでしょうか。

A. 外国人講師がマンツーマンで基礎から指導!
B. 英語がどんどん話せるように。海外旅行も安心!
C. 今朝、目覚めたら英語がペラペラになっていた!

 キャッチコピーは、ぱっと見て印象が決められてしまうので、考え込んではいけません。5秒以内程度、読んだ瞬間で判断しましょう。

 はい、Aがよいです(よいキャッチコピーの例ということではなく、この実例のなかでは、という意味です。念のため)。「外国人講師」「マンツーマン」「基礎から」という3つの具体的な情報が入っていて、何をしてくれるのかがわかるからです。
 Bには、「海外旅行用のコースがあるのかな、どうかな」と、情報としてはっきりしません。それに英会話教室に行くのだから、「英語がどんどん話せるように」なるのはあたりまえなので流してしまうし、安っぽい印象もあります。
 Cは、現実にはありえないイメージですね。具体的情報がまったくなく、誇大広告にもなりかねません。

 消費者の目に、商品を購入することで自分のメリットを具体的にイメージできること。売れるWebサイト上でのキャッチコピーはこれにつきます。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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